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2014年5月26日付 2520号

クール宅急便の品質改善でキャパシティ拡大と総量管理を実施、荷主への要請も  ヤマト運輸

会見に臨む長尾常務執行役員

 ヤマト運輸(山内雅喜社長)は20日、東京・千代田区の大手町ファーストスクエアカンファレンスで記者会見を開き、昨年10月に発生したクール宅急便の品質管理問題への対応策について、現段階までの取り組みと「総量管理システム」の導入など中元繁忙期に向けた対策を説明した。会見には長尾裕常務執行役員、森岡紀之クール宅急便品質管理対策推進室長、田村高志群馬主管支店品質指導長が出席した。

 昨年10月の問題発覚以来取り組んできた施策は、①社長直属のクール宅急便品質管理対策推進室を設置②昨年12月から全国に160人の品質指導長を配置③今年2月から早朝作業リーダーを配置④各拠点のキャパシティ把握と設備の拡充によるキャパシティ拡大―の4点。

 このうち、設備の拡充については、先月発表した取扱数量に合わせて保冷室容量を変化できるタイプの新型車両(4月28日付で既報)について、6月末までに57台、上期中にさらに164台を導入し、合計221台の導入を予定する。あわせてクールコンテナやコールドバック・シート、保冷台車を投入し、クールのキャパシティを、おおむね従前の5割増まで拡充する。

 また、クール宅急便の大部分が食品関連であることから、全国に1690人いるエリア支店長(複数の小規模センターを統括する支店長)と品質指導長について、食品衛生責任者の資格取得を進めていく。

 この5月後半から6月後半までの約1ヵ月間については、社内に蓄積されている膨大な過去データをもとに、最大で前年同期比10%程度の伸長があるものとして、各地域・拠点単位の到着量を予測。予測に従いクール設備の再配置を行うほか、予測を超える到着があった場合の対処策について、各拠点で事前にルールを決めておく。

 実際に中元繁忙期に入る6月後半からは、発店所からの出荷実績データをもとに、翌日の容積ベースの到着量を各着店に先送りするシステムを稼働させ、着店での事前準備を行いやすくするとともに、キャパシティを超える到着が見込まれる場合は「警報リスト」を出力し、事前ルールに従った対応を促す。

 さらに顧客への要請として①中元繁忙期のピークシフト②適正なサイズの計上―の2点を実施。大手百貨店や通販事業者は例年、6月中の注文を末日ごろにまとめて発送するため、7月1日および2日が到着のピークとなるケースが多く、実際昨年の7月2日は、平月の約3倍に当たる約120万個を取り扱っている。このためこうした大口荷主を対象にピークの分散を要請しており、おおむね理解を得られているという。

 長尾常務執行役員は会見で、「荷主への要請は理解を得ながら進めていく。キャパシティの拡充を進めるとともに、ピークの山をずらすことで、荷受け制限などを行わなくてもすむよう体制を整備していく」と強調。

 森岡室長は、「クール宅急便問題の原因は、各拠点の声に耳を傾けてこなかったことにある。機材の拡充や品質指導長の設置などを進めることで、品質を持続的に維持向上できる体制を構築していく」と述べた。

 一方で田村品質指導長は、「自分の役割は会社と現場のパイプ役。現場の声から各種の具体的な品質改善策もあがってきており、作業員一人一人の意識も向上してきたと感じている」と語り、品質改善策が一定の効果を挙げているとの認識を示した。

輸出入コンテナマッチングセンターを開設、海上コンテナのラウンドユースでトレーラの渋滞解消へ  日通

 日本通運は2日、輸入で使用した空の海上コンテナを港に返却せずに、輸出のコンテナとして再使用するラウンドユース推進に向けた輸出入コンテナマッチングセンターを設立した。

 輸出入に使用する海上コンテナは、配達終了後に毎回返却し、集荷時に港に引き取りを行わなければならず、東京港周辺ではトレーラが慢性的に周辺道路の渋滞を引き起こし、社会問題になっている。空のコンテナを回送しているため、輸出入業者にとってはコスト面、運送業者にとってはコスト面に加えてCO2排出などの環境面の問題もあり、輸出入業者、運送業者、行政から港を経由しないコンテナのラウンドユースの要請が高まっている。

 ラウンドユースを行う場合、輸出主体、輸入主体の企業では片道分の貨物しかない、貨物があっても利用する日程が合わないなどの課題もあり、労力と時間を割かなければならず、効率的な運用が難しい面がある。

 日通では、これらの諸問題を解決するため、東京都港区にコンテナマッチングセンターを開設し、ラウンドユースを利用したオペレーションを開始。同センターでは、顧客から物流形態やニーズを集約し、集荷・配達の時間や立地条件などから集配ルートなどを設計、さまざま顧客と顧客を組み合わせた最適な輸送方法を提案する。

 これにより、コンテナの往復利用が可能となり、空での輸送が減りトレーラ運行数が削減されることから港湾周辺の渋滞緩和に寄与し、環境負荷も低減する。また、顧客のトレーラの費用が削減され、日程調整や各種手続き等も同社が行うことより軽減できる。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・日通グループ全国安全衛生大会
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(21)
    ☆日中ビジネスワンポイント『母親節』

  • ☆国交省が第2回健全化・活性化有識者懇開く、ドライバーの社会的地位向上に公的資格制度の案を提示
    ☆公取・経産省、消費税転嫁拒否への指導は運輸・郵便業146件
    ☆エコモ財団がグリーン経営認証取得の効果まとめる、平均燃費が4%改善し事故件数も34%減少
    ☆全流協が10年先プロジェクト発足、運行系統削減を研究
    ☆日本3PL協が14年度定時総会、創立10周年祝う
    ☆試験センター、臨時運管試験で貨物は1万1千人が受験
    ☆ミシュランがトラック・バス用タイヤで記者会見、3Rでコスト削減アピール
    ☆日本郵便、小型物品・オンライン。回収の3新商品を発表
    ☆第一貨物、ベトナム・ハノイに駐在員事務所開設
    ☆路線連盟が総会、総務委員会で団体存続の可否判断へ
    ☆昨年のドラコン優勝者が安倍総理を表敬訪問
    ☆日通、4月の国際事業実績は航空輸入が2桁増
    ☆日貨協連が理事会で6月6日付の新体制を内定、新会長に古谷芳彦東ト協連会長

今週のユソー編集室

  • ▼大阪府警は19日、大型や中型トラックに軽自動車用のETC車載器を搭載し、本来支払うべき高速道路の通行料金をだましとったとして、奈良県の元運転手3人を書類送検した。
    ▼いわゆるETC詐欺には、さまざまな手法があるという。バーをはねのけ強引に突破する型、前の車に張り付く「カルガモ」型、機器の不具合を装う型、そして今回のような別の車の車載器を悪用する型などだ。
    ▼こうした車載器は、ネットオークションなどでおおむね1万円程度で簡単に手に入る。業務で日常的に利用すれば、高速道路会社の被害額は数百万円にも及ぶ。大阪の例では、通行料金を給与から支払わされていたという事情もあるようだ。
    ▼業界の社会的地位向上のため、こうした行為を許す事業者には、市場から退出願うしかない。この4月からは、高速料金も改定された。厳しい取り締まりは、むしろ望むところであろう。正直者が馬鹿をみる業界であってはいけない。

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