トラック運送事業新規参入許可手続きの厳格化や利用運送規制強化求める 全ト協が要望書
全ト協(星野良三会長)はこのほど、新規許可手続き、法令試験など現行要件等運用のさらなる厳格化と、法律改正を伴う利用運送事業規制の強化を求める「トラック運送事業の新規許可手続き要件の見直し等に関する要望書」をまとめ、「第2回トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会」に提案するほか、国土交通大臣や与党トラック議連等の議員らに対し提出し、その実現方について要請していく。16日、福本秀爾理事長が専門紙誌記者との会見(細野高弘専務理事が同席)で発表した。
同要望書は4月2日の物流政策委員会で承認され、翌3日の正副会長会議で了承されたもの。トラック運送業界が引き続き国民生活のライフラインとしての役割を果たし続けていくため、『新規参入規制の強化』と『利用運送事業規制の強化』を求めている。
新規参入規制強化では、まず、「新規許可における手続きの厳格化」として、書類審査のみで行われる現行の新規許可は施設や車両等事業計画どおりか確認が不十分であるため、許可条件に適合しないまま事業開始するケースがみられ、輸送の安全確保等を阻害する一因となっていると指摘。運輸開始届は事前届出制とし、運輸局・運輸支局による現地確認を受けることを事業開始の要件とするよう要望。現地確認では、事業計画に定められた台数が確保されているかなど9項目について許可条件に適合するか否かを厳格に審査し、不適切な案件は許可取り消しか是正措置を講じるよう求めている。
次いで、法令遵守と輸送の安全確保を徹底するため、年2回の法令試験実施と2回不合格の場合は受験資格を失うなど「法令試験のさらなる厳格化」を要望。そして「事業用自動車の要件強化」として、NOx・PM法等ディーゼル車規制条例の規制対象外地域では不適合車でも事業用車両にすることが可能なため、新規参入条件の公平性を保つため、新規許可時に配置する事業用車両は新車・中古車を問わず最新環境基準適合車に限定するよう求めている。
また「事業用自動車の自己保有義務化」について、現行で認められているリース契約は契約解除による減車が容易で、5台割れ減車を助長する要因となっているとして、新規許可取得時の事業用車両は一定期間の自己保有の義務化を要請。さらに、5台割れ事業者には一定の猶予を付与し確実に是正させるとともに、改善されない場合は事業改善命令の発動など「5台割れ事業者の取扱の厳格化」を要望。
利用運送事業規制の強化については、“専業水屋”と呼ばれる第一種貨物利用運送事業(自動車)は現行、貨物利用運送事業法で規制されていることから、実質的には行政による監査体制が整備されておらず、運行管理上問題のある輸送の安全運行を阻害する運送委託が後を絶たない状況にあるとして、貨物自動車運送事業法の適用対象事業にするよう法律改正を要望している。