鉄道事業の黒字化実現へ JR貨物が中期経営計画を策定
JR貨物(田村修二社長)は3月31日、「中期経営計画2016~鉄道事業黒字化を実現~」を発表した。安全を重要視しながら経営資源の効率化を進め、58億円(2013年度見込み)にのぼる鉄道事業部門の営業赤字を解消し、収支均衡から黒字化を目指す内容。
目標の明確化と職場活性化を実現するため、「支社別利益管理」と「部門別管理」を有機的に結びつけた「マトリクス経営管理」を導入。運転士勤務体系見直しや賃金・要員計画の抜本的見直し、投資の編成方針策定、調達構造の見直しなどヒト、モノ、カネの経営資源の戦略的活用を図る。
鉄道事業の収入増加策については、すでに実施している利用運送事業者へのインセンティブや1ヵ月前予約制度導入などのほか、適正運賃収受を含む運賃体系の見直し、低積載率区間への戦略的運賃提案等による往復実車化、JR汎用31フィートコンテナ増備など商品ラインナップの充実等を行っていく。あわせて412本・90グループの幹線系列車を、粗利益黒字の44グループと同赤字の46グループに分類。特に赤字グループの列車は、毎年のダイヤ改正で逐次収益改善を図り、商品力の強化を継続していく。
また、東京貨物ターミナル駅用地の高度利用化推進や、貨物駅と港湾の結節強化など、総合物流事業の強化に取り組んでいくことに加え、グループ会社再編や各社諸機能の連携強化など、グループ戦略強化も計画に盛り込んだ。3年間の設備投資額は総額810億円を見込んでおり、うち鉄道事業の車両更新、業務改善、老朽対策、リース資産などに640億円をあてる。
連結ベースの16年度末目標数値は、売上高が1948億円の13年度末見込み(2月末現在の見込み)比6.5%増、そのうち鉄道事業は1707億円の7.3%増。営業利益は110億円の86.4%増、そのうち鉄道事業は10億円で61億円改善。経常利益は78億円で169.0%増。輸送トンキロは221億トンキロで7.3%増。1日当たり列車キロは19万6600キロで3.4%減。社員数は8261人で650人減。機関車数は567両で59両減、コンテナ貨車数は7193両で472両減を見込んでいる。