物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2014年4月7日付 2514号

鉄道事業の黒字化実現へ  JR貨物が中期経営計画を策定

 JR貨物(田村修二社長)は3月31日、「中期経営計画2016~鉄道事業黒字化を実現~」を発表した。安全を重要視しながら経営資源の効率化を進め、58億円(2013年度見込み)にのぼる鉄道事業部門の営業赤字を解消し、収支均衡から黒字化を目指す内容。
 
 目標の明確化と職場活性化を実現するため、「支社別利益管理」と「部門別管理」を有機的に結びつけた「マトリクス経営管理」を導入。運転士勤務体系見直しや賃金・要員計画の抜本的見直し、投資の編成方針策定、調達構造の見直しなどヒト、モノ、カネの経営資源の戦略的活用を図る。

 鉄道事業の収入増加策については、すでに実施している利用運送事業者へのインセンティブや1ヵ月前予約制度導入などのほか、適正運賃収受を含む運賃体系の見直し、低積載率区間への戦略的運賃提案等による往復実車化、JR汎用31フィートコンテナ増備など商品ラインナップの充実等を行っていく。あわせて412本・90グループの幹線系列車を、粗利益黒字の44グループと同赤字の46グループに分類。特に赤字グループの列車は、毎年のダイヤ改正で逐次収益改善を図り、商品力の強化を継続していく。

 また、東京貨物ターミナル駅用地の高度利用化推進や、貨物駅と港湾の結節強化など、総合物流事業の強化に取り組んでいくことに加え、グループ会社再編や各社諸機能の連携強化など、グループ戦略強化も計画に盛り込んだ。3年間の設備投資額は総額810億円を見込んでおり、うち鉄道事業の車両更新、業務改善、老朽対策、リース資産などに640億円をあてる。

 連結ベースの16年度末目標数値は、売上高が1948億円の13年度末見込み(2月末現在の見込み)比6.5%増、そのうち鉄道事業は1707億円の7.3%増。営業利益は110億円の86.4%増、そのうち鉄道事業は10億円で61億円改善。経常利益は78億円で169.0%増。輸送トンキロは221億トンキロで7.3%増。1日当たり列車キロは19万6600キロで3.4%減。社員数は8261人で650人減。機関車数は567両で59両減、コンテナ貨車数は7193両で472両減を見込んでいる。

燃油高騰転嫁できず「走れば走るほど赤字」  東ト協12年度経営分析

 東ト協(大高一夫会長)は3月31日、2012年度決算版経営分析結果を公表。基準に該当する会員事業者の経営状況を分析したところ、東京のトラック運送業界は燃料費上昇分を運賃に転嫁できず、「走れば走るほど赤字」という異常事態が続いている状況が浮き彫りとなった。

 経営分析は、08年決算から行っているもので、今回で5回目。提出された442社分の12年度事業報告書と輸送実績報告書から、全ト協の経営分析と同じ「一般貨物運送事業の売上高比率が80%以上」などの基準を満たした155社について分析している。
 営業収益に占める燃料費比率は11.7%で前年度より2.0ポイント上昇。燃料費比率の上昇などにより、売上高営業利益率はマイナス0.2%で前年度より1.2ポイント悪化し、営業赤字となった。特に、保有車両台数10台以下の事業者ではマイナス3.7%となり5年連続で赤字。

 全体の1日1車当たりの営業損益は、マイナス338円。10台以下ではマイナス1957円と2千円に迫るマイナスを示しており、「走れば走るほど赤字」の状況が深刻化している。こうした状況から、「燃料費の増加分について、荷主・元請事業者が負担しないと、貨物量が増加し、売上高が回復しても“増収減益”となり、赤字幅をさらに拡大させる懸念がある」と指摘。コストに見合った適正運賃の確保と円滑な燃料サーチャージの導入が重要であるとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(19)
    ☆主な物流企業の2014年度入社式トップ訓示

  • ☆国交省、輸送力不足問題で調査検討会を設置
    ☆ヤマトHD、シンガポール~マレーシア間で宅急便ネット結節
    ☆ヤマトシステム開発、ドラッグストア向けネット販売当日宅配サービス開始
    ☆全ト協、本年度から2年間トラック業界における高齢者活用の在り方検討
    ☆国交省、海陸一貫輸送実験でインドネシア籍トレーラがシンガポールを走行
    ☆国交省、春の交通安全運動期間中の安全対策強化を指導
    ☆佐川急便が信書回収サービス開始、申込書類等の返送を迅速化
    ☆国交省・農水省、農林水産物や食品の輸出情報マッチングシステム構築へ
    ☆東ト協連の運賃動向調査、荷動き活発化の一方で運転者不足深刻に
    ☆各労連本部集約の春闘妥結状況
    ☆ボックスチャーター、イベント輸送などの往復一括手配が可能に
    ☆佐川グローバルロジスティクス、フォーク技能コンテストで嘉納選手が総合優勝
    ☆カンダ、国際海上貨物の輸出事業ニュースターラインを子会社化
    ☆日通、かんたん送り状発行システムを発売
    ☆日新、米国物流会社の株式75%強取得へ
    ☆セイノースーパーエクスプレス、エキスプレスネットワークに参加
    ☆全ト協・日貨協連、13年度WebKIT荷物情報93万件に
    ☆ヤマト運輸が信書便活性化中間答申に意見提出、独自アンケートもとに根本的議論の継続求める
    ☆日通総研が14年度見通し改訂、国内貨物2.4%減に
    ☆全ト協、全国で引越安心マーク制度の説明会実施へ

今週のユソー編集室

  • ▼関東以西では桜が満開の季節を迎え、いよいよ新年度が始まった。毎年この時期は、入社式や入学式の話題でもちきりとなり、なんとなくこちらまで気持ちが新鮮になる。
    ▼本紙でも例年同様、1日に入社式を行った物流企業各社のトップ訓示を、4、5面で掲載している。社会人の先輩として、企業の経営をつかさどる者として、それぞれの思いがこめられた言葉だ。
    ▼内容をみると、「自律せよ」「失敗を恐れるな」「夢をもて」「コミュニケーションをとれ」などの文言が目にとまる。一人の人間として成長し、1日も早く会社を支える戦力となるよう願う、強い気持ちが読み取れる。
    ▼「最近の若い者は…」という嘆きは、古代ギリシャ時代から言われ続けてきた言葉だという。先輩の立場として、ジェネレーションギャップに戸惑う場面も多かろうが、いずれも縁あって物流業界の門を叩いた新入社員たちが大きくはばたけるよう、成長を手助けしていきたい。

戻る