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2014年2月24日付 2509号

トラック産業の健全化に向けて有識者懇談会設置へ、不適正事業者対策や業界活性化など検討  国交省

 国土交通省の田端浩自動車局長は20日の定例会見で、トラック産業の不適正事業者対策や人材確保に向けた検討などを行うため、「トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会」を設置し、3月12日に第1回会合を開くことを明らかにした。

 これまで開いてきた「トラック産業の将来ビジョン検討会」での議論が一段落したことから、トラック産業の健全化と活性化に的を絞りつつ、トラック産業を取り巻く諸課題の解決について検討を行うもので、健全化については、①不適正事業者の指導強化・退出促進と優良事業者への配慮②適正運賃の収受③多層構造の適正化④新規参入時の事前チェック強化―をテーマに取り上げていく。また、活性化については、人材確保や新たな事業展開、社会機能の一層の発揮のあり方などについて話し合う。

 委員には、苦瀬博仁東京海洋大教授、齊藤実神奈川大教授ら学識経験者や、物流ジャーナリストの森田富士夫氏ら有識者、経済団体から栗原博日本商工会議所流通・地域振興部長と根本勝則日本経団連産業政策本部長が参加の予定。トラック事業者からは、坂本克己、大高一夫両全ト協副会長、嶋田康子全ト協常任理事、齋藤充日本通運常務、樋口恵一川崎陸送社長が参加。労働組合からは、山浦正生運輸労連委員長と山口浩一交通労連委員長が参加する。

 3月に第1回、4月に第2回の会合を開催、6月に第3回会合を開いて議論を取りまとめ、解決策などについて公表する計画だが、必要に応じて開催回数を増やす可能性もあるとしている。

 また、田端局長は会見で、1月24日に発足した「自動車運送事業等の人材確保および育成に向けたプロジェクトチーム」の検討状況に触れ、関係者からのヒアリングで、ドライバーの戦略的募集や自動車事業の魅力向上、分業の組み合わせによる労働力確保などが検討課題に挙がっていることを明らかにした。

 今後、課題についての解決策などについて検討を行った上、6月をめどに取りまとめ、必要に応じて2015年度予算要求に反映させる考えを示した。

 さらに、トラックの年度末のドライバー不足問題については、「年度末の輸送に対する荷主や消費者のニーズはあると思うが、ピークを避けることが結果として、輸送のクオリティーというメリットとして利用者に還元される」とし、全ト協が引越事業に関して行っている平準化への取り組みなどを、行政としてもサポートしていく姿勢を強調した。

17年度までの中計を策定、自立成長とM&Aで売上高2千億円へ  SBS

2017年に創業30周年を迎えるSBSホールディングス(鎌田正彦社長)は19日、14年度(同社の年度は暦年)から17年度の4年間を期間とする中期経営計画、「SBS Growth 2017」を発表した。

 『“全方位の物流機能を有する3PL企業集団”を結成し、日本国内に留まることなくアジアを代表する物流企業として、業界トップグループ入りを目指す』としており、経営方針として、①お客様に選ばれる現場力を磨く②グループ力を結集する③ベンチャースピリット集団であり続ける④持続的な成長を果たす⑤コンプライアンス、CSRを重視する経営を貫く―の5項目を掲げている。

 最終となる17年度の数値目標は、売上高2千億円(14年度予想比650億円増、平均成長率14%)、営業利益80億円(同34億円増、20.3%)、売上高営業利益率4.0%(同0・6ポイント増)、自己資本比率30%以上に設定した。

 17年度売上高目標2千億円の内訳は、物流事業が1820億円(同585億円増)、不動産事業が90億円(同37億円増)、その他事業が90億円(同28億円増)。
 4年間の増収分650億円のうち、M&Aによる増収を450億円と見込んでおり、全て物流企業を対象としている。

 特に注力していく分野として、3PL、アジア、物流施設開発の3点を挙げ、このうち3PLについては、企業間物流とネット物流に絞り、M&Aもからめてシェア拡大を図っていく。17年度の3PL売上高目標は700億円に設定、14年度予想比は220億円の増。

 アジア進出については、M&Aや現地パートナーとの連携強化により、17年度国際物流売上高目標を300億円に設定、14年度予想比は223億円の増。

 施設開発については、関東地方を中心に5年間で総額500億円の投資を行う計画としており、そのほかニーズに合わせて随時投資を行っていく考え。3PLとからめた事業を展開し、相乗効果を狙う。建設後の施設の信託受益権は、随時私募ファンドに部分譲渡し、そこで得られた資金を新規開発案件に再投資していく。

 このほか、13年度末時点で年間発電量570万キロワットの能力をもつ太陽光発電事業についても、14年度中に900万キロワット、15年中に1千万キロワットへと、順次拡大していく方針としている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆連載特集・引越(2)
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(16)
    ☆四文字『荷主は何を?「無理難題」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け』(27)

  • ☆厚労省の13年毎勤統計確報、道路貨物運送業は給与、実働時間横バイ
    ☆国交省、中型トラックにも衝突被害軽減ブレーキ装着義務化
    ☆沖縄国際ハブの挑戦、ヤマト・ANA・沖縄県が協力して20億人市場開拓へ
    ☆14春闘スタート、運輸労連大手の要求内容
    ☆三八五労組が年次大会、小野委員長が人材への投資を訴える
    ☆千葉ト協が物流セミナー開催、政局と日本経済展望
    ☆川崎陸送、創業90周年事業でレトロトラック復元
    ☆東ト協、事故防止大会開く
    ☆通運連盟、第9回全国大会開く
    ☆日通の1月分国際事業本部実績、航空8%の伸長

今週のユソー編集室

  • ▼2週続けて同じ話を書くのは本意ではないが、またしてもやって来た大雪に触れざるを得ない。
    ▼今回も各地で道路が通行止めとなり、山梨県などは一県まるごと孤立状態に置かれるなど、前代未聞の事態に陥った。道路に放置された車両が除雪作業の妨げになるなど、交通の途絶は長期に及び、降雪から1週間が経過しても、なお多くの人が孤立状態にあるという深刻さだ。
    ▼物流がストップし、スーパーやコンビニエンスストアからモノがなくなるなど、国民生活に大きな影響が出たことも、前回より大きく報じられている。
    ▼そうした中、「問われたのは地域力」というコラムが目にとまった。ツイッターなどで積極的に情報収集に動き、いち早く対策を講じた市長がいたかと思えば、別の市では自衛隊への災害派遣要請を県に退けられたという。緊急時に最も必要とされるのは“情報”。東日本大震災で学んだはずの教訓は、生かされているのだろうか。

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