トラック産業の健全化に向けて有識者懇談会設置へ、不適正事業者対策や業界活性化など検討 国交省
国土交通省の田端浩自動車局長は20日の定例会見で、トラック産業の不適正事業者対策や人材確保に向けた検討などを行うため、「トラック産業の健全化・活性化に向けた有識者懇談会」を設置し、3月12日に第1回会合を開くことを明らかにした。
これまで開いてきた「トラック産業の将来ビジョン検討会」での議論が一段落したことから、トラック産業の健全化と活性化に的を絞りつつ、トラック産業を取り巻く諸課題の解決について検討を行うもので、健全化については、①不適正事業者の指導強化・退出促進と優良事業者への配慮②適正運賃の収受③多層構造の適正化④新規参入時の事前チェック強化―をテーマに取り上げていく。また、活性化については、人材確保や新たな事業展開、社会機能の一層の発揮のあり方などについて話し合う。
委員には、苦瀬博仁東京海洋大教授、齊藤実神奈川大教授ら学識経験者や、物流ジャーナリストの森田富士夫氏ら有識者、経済団体から栗原博日本商工会議所流通・地域振興部長と根本勝則日本経団連産業政策本部長が参加の予定。トラック事業者からは、坂本克己、大高一夫両全ト協副会長、嶋田康子全ト協常任理事、齋藤充日本通運常務、樋口恵一川崎陸送社長が参加。労働組合からは、山浦正生運輸労連委員長と山口浩一交通労連委員長が参加する。
3月に第1回、4月に第2回の会合を開催、6月に第3回会合を開いて議論を取りまとめ、解決策などについて公表する計画だが、必要に応じて開催回数を増やす可能性もあるとしている。
また、田端局長は会見で、1月24日に発足した「自動車運送事業等の人材確保および育成に向けたプロジェクトチーム」の検討状況に触れ、関係者からのヒアリングで、ドライバーの戦略的募集や自動車事業の魅力向上、分業の組み合わせによる労働力確保などが検討課題に挙がっていることを明らかにした。
今後、課題についての解決策などについて検討を行った上、6月をめどに取りまとめ、必要に応じて2015年度予算要求に反映させる考えを示した。
さらに、トラックの年度末のドライバー不足問題については、「年度末の輸送に対する荷主や消費者のニーズはあると思うが、ピークを避けることが結果として、輸送のクオリティーというメリットとして利用者に還元される」とし、全ト協が引越事業に関して行っている平準化への取り組みなどを、行政としてもサポートしていく姿勢を強調した。