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2014年2月17日付 2508号

引越事業者有料認定制度で7月に申請受け付け、12月に事業者発表  全ト協

 全ト協は13日、東京・新橋の第一ホテル東京で記者会見を開き、来年度スタートさせる「引越事業者優良認定制度」の概要について発表した。

 4月から申請書類等を頒布し、7月1~14日(土・日曜日除く)に申請を受け付ける。翌15日から11月にかけて審査作業を行い、審査委員会を開催し、12月に認定事業者を発表する予定。認定有効期間は来年1月1日から3年間。申請は300社前後になるものとみられている。なお、新規の申請受け付け、認定は毎年実施する。

 全ト協では2010年に優良認定制度の検討に着手、翌11年10月に同制度の準備委員会を立ち上げ、昨年11月まで10回の会合を重ね、具体的な内容を詰めてきた。

 会見には引越部会の鈴木一末部会長のほか、齋藤直哉常務理事、礎司郎輸送事業部長らが同席。冒頭、鈴木部会長は、認定されることは決して難しいことではなく、「当たり前のことを当たり前にやる事業者が優良事業者と認定される制度」と説明するとともに、「多くの事業者が安全・安心なサービスを消費者に提供できる引越優良事業者となって、会社、業界の発展につなげていってほしい」と述べた。

 引き続いて齋藤常務理事が概要を説明。同制度の目的として、「消費者に安全・安心な引越サービスを提供する事業者の情報を提供することにより、引越における苦情やトラブルの防止を目指す」ことを掲げた。

 申請は、引越優良事業者の認定を受けようとする“引越事業者等”は、「一般貨物自動車運送事業の許可または第一種貨物利用運送事業の登録もしくは第二種貨物利用運送事業の許可を受け、引越事業を行う事業者。または引越事業者で構成する共通の引越サービス名称を使用しているグループ」とし、この引越事業者等は引越を行う全ての事業所の資料をまとめ、全ト協に申請を行うことを求めている。

 認定を受けようとする引越事業者等の資格要件として次の3項目をあげている。①一般貨物自動車運送事業の許可、第一種貨物利用運送事業の登録または第二種貨物利用運送事業の許可を受けていること②引越に関わる全ての事業所のうち、引越の実運送を行う全ての事業所が「安全性優良事業所(Gマーク)」であること。3年間はGマークを取得できない新設事業所等やむを得ない理由により、Gマーク未取得事業所がある場合は、別途定める認定基準に規定する要件を満たしていること③引越に関わる全ての事業所に全ト協が行う引越管理者講習の修了者が1人以上在籍していること。

 審査基準は、①引越における約款を遵守していること②苦情等に対する対応体制および責任の所在の明確化を図っていること③適切な従業員教育を行っていること④適正な広告表示を行っていること⑤適正な廃棄物処理等を行っていること―の5項目。
 審査に当たっては、事業者委員を含まず外部メンバーで構成する審査委員会を設置する。同委員会は、全ト協会長の諮問を受けて別途定める認定基準にのっとり審査し、結果を報告する。審査作業は7月15日から11月にかけて行い、その終了後、審査委員会を開催する。この結果を受け、全ト協会長は引越優良事業者と認定した引越事業者等に対して、認定証を授与し、認定マークとステッカーの使用を許可する。認定事業者発表に伴い、認定証等を発送。認定事業者等は全ト協ホームページなどで公表する。

 そして、3年の有効期間が満了した場合や引越事業者等でなくなった場合、認定証の返納が受理された場合は、認定は失効する。また、申請に不正があった場合、申請資格と基準の要件を満たさなくなった場合、認定証や認定マーク等を不正に使用した場合は、認定を取り消す。

 申請料として実費の一部を収受し、申請する引越事業者等の引越に関わる全ての事業所の数およびGマーク未収得事業所数によって差を設ける。また引越講習の受講には実費の一部を収受する。制度運営に当たっては、引越事業者優良認定制度準備委員会のメンバーを主体に構成する運営委員会を設置する。同委は認定制度に関わる認定基準の改正など制度上の重要事項について、全ト協会長の諮問を受け、答申を行う。

 同制度開始に伴い全ト協では、苦情等への対応には、国民生活センター等とも相談しながら、苦情や相談等を受け付ける専用の窓口を設け、認定事業者の担当者とも密接な連携を図りながら、消費者等への対応を図っていきたいとしている。

第3回全国安全大会で関西支社が2連覇  ヤマト運輸、ヤマト運輸労組

関西支社の記念撮影 模擬集配のもよう

 ヤマト運輸(山内雅喜社長)とヤマト運輸労組(森下明利委員長)は12、13の両日、三重・鈴鹿市の鈴鹿サーキット交通教育センターで、第3回ヤマト運輸全国安全大会を開催した。①安全意識向上②運転技術向上③法令と安全運転実施のための知識向上―を目的に、毎年行っているもの。

 今年は、全国に約6万人いる同社のドライバーのうち、約5千人が主管支店の予選に参加。引き続き行われた全国10支社の予選を勝ち抜いた30人に加え、沖縄ヤマト運輸から2人の合計32人の選手が出場(うち女性1人)。2トンMPバン、2トンウォークスルー、軽自動車の3部門に分かれ、学科、日常点検整備、運転実技を競った。

 学科試験のみ12日に行われ、翌13日に開会式、日常点検整備、運転実技が行われたが、13日には各支社の幹部、安全指導担当者、応援者など、多数が参加した。開会式の冒頭にあいさつした山内社長は、「安全とコンプライアンスは基本。相撲では心技体が揃ってはじめて横綱になれる。高い安全意識という“心”、高い運転技術という“技”、自身の健康や車の状態を良好に保つという“体”を揃え、地域に愛され職場で尊敬される横綱になってほしい」と参加選手に呼びかけた。

 続いてあいさつした森下委員長は、「どれだけ忙しくても、ハンドルを握ったら決して事故を起こさないよう、意識を途切れさせないことが大事。仲間を事故から守るため、自分が所属する店全体で安全意識が向上できるよう、リーダシップをとってほしい」と訴えた。

 競技中に記者団と会見した山内社長は、全国安全大会の開催や、同社オリジナルの安全エコナビゲーションシステム『See―T NAVI(シーティーナビ)』の搭載の効果等から、事故件数が減少傾向にあることを説明。次回大会では集配自転車の競技も検討していく考えを示すとともに、地域で宅配を行っている企業など、ヤマト運輸以外への安全教育の実施も視野に入れ、業界全体の安全意識向上に貢献していきたいと語った。

 一方で森下委員長は、「安全には、『ここまでやればいい』というものがない。忙しさに負けず、毎日毎日安全を唱えられる人を、店にしっかり置くことが大事」と強調。一方で人手不足感が強まっていることに危機感を示し、あわせて適正な運賃を収受していくために、物流の価値を社会に正当に評価してもらうことが必要と語った。
 表彰は、各部門の3位~1位、総合優勝支社に対して行われた。総合優勝の関西支社は出場全選手が表彰を受け、同じく出場全選手が表彰を受けた四国支社を抑えて2連覇を達成した。

 部門表彰者は次のとおり。所属・選手名の順。敬称略。
 【2トンMPバン】◎優勝=関西支社西大阪主管支店大阪堂島センター・山本裕二◎2位=北海道支社札幌主管支店札幌宮の沢センター・沼田充広◎3位=四国支社高知主管支店高知宿毛センター・桜木靖
 【ウォークスルー】◎優勝=四国支社徳島主管支店三好井川センター・宮先博忠◎2位=関西支社大阪主管支店茶山台センター・曽我昭◎3位=沖縄ヤマト運輸沖縄主管支店那覇空港前センター・伊敷和幸
 【軽自動車】◎優勝=四国支社愛媛主管支店久万センター・中川健二◎2位=東北支社福島主管支店郡山山根センター・栁沼健二◎3位=関西支社大阪主管支店駒川センター・谷口祐介

今週掲載トピック一覧

  • ☆連載特集・引越(1)
    ☆日中ビジネスワンポイント『高齢者権益保障法』

  • ☆JILSがロジスティクスKPI調査、荷主企業が物流面で重視する項目
    ☆全ト協のトラック景況感、前回から大幅に改善
    ☆JR貨物、年度末の輸送力確保異例の規模で展開
    ☆ヤマト運輸、消費税増税に伴い運賃・料金を変更
    ☆ヤマト運輸、宅急便店頭受け取り等の取り扱いコンビニ拡大
    ☆トラック共同点呼、全国で18件許可
    ☆JR貨物、好調な1月実績
    ☆引越専門協組連、梱包コンテスト全国大会開く

今週のユソー編集室

  • ▼先々週の8日から9日にかけて、東日本の太平洋側では記録的な大雪に見舞われた。東京では45年ぶり、宮城県石巻市に至っては、実に91年ぶりの大雪だったと報じられている。慣れない雪かき作業で、筋肉痛の人もいたかもしれない。
    ▼首都圏での大雪と言えば、付き物なのが交通網の混乱だ。今回もご多分にもれず、飛行機の欠航や高速道路の閉鎖、鉄道の運転見合わせが相次ぎ、多くの人が影響を受けた。交通事故も多発し、けが人や死者も出てしまった。
    ▼当然ながら、物流にも大きな影響が出た。宅配便は集配が遅れ、コンビニエンスストアでは商品補充の車両が間に合わず、欠品が出たようだ。
    ▼私ごとだが、その日は出張帰りで、鉄道網の混乱に巻き込まれた。リアルタイムで正確な運転情報が手に入らず、途方に暮れた。人流は、それでも勝手に各自の判断で目的地に向かってくれる。物流関係者からみれば、やはりありがたいことに違いない。

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