引越事業者有料認定制度で7月に申請受け付け、12月に事業者発表 全ト協
全ト協は13日、東京・新橋の第一ホテル東京で記者会見を開き、来年度スタートさせる「引越事業者優良認定制度」の概要について発表した。
4月から申請書類等を頒布し、7月1~14日(土・日曜日除く)に申請を受け付ける。翌15日から11月にかけて審査作業を行い、審査委員会を開催し、12月に認定事業者を発表する予定。認定有効期間は来年1月1日から3年間。申請は300社前後になるものとみられている。なお、新規の申請受け付け、認定は毎年実施する。
全ト協では2010年に優良認定制度の検討に着手、翌11年10月に同制度の準備委員会を立ち上げ、昨年11月まで10回の会合を重ね、具体的な内容を詰めてきた。
会見には引越部会の鈴木一末部会長のほか、齋藤直哉常務理事、礎司郎輸送事業部長らが同席。冒頭、鈴木部会長は、認定されることは決して難しいことではなく、「当たり前のことを当たり前にやる事業者が優良事業者と認定される制度」と説明するとともに、「多くの事業者が安全・安心なサービスを消費者に提供できる引越優良事業者となって、会社、業界の発展につなげていってほしい」と述べた。
引き続いて齋藤常務理事が概要を説明。同制度の目的として、「消費者に安全・安心な引越サービスを提供する事業者の情報を提供することにより、引越における苦情やトラブルの防止を目指す」ことを掲げた。
申請は、引越優良事業者の認定を受けようとする“引越事業者等”は、「一般貨物自動車運送事業の許可または第一種貨物利用運送事業の登録もしくは第二種貨物利用運送事業の許可を受け、引越事業を行う事業者。または引越事業者で構成する共通の引越サービス名称を使用しているグループ」とし、この引越事業者等は引越を行う全ての事業所の資料をまとめ、全ト協に申請を行うことを求めている。
認定を受けようとする引越事業者等の資格要件として次の3項目をあげている。①一般貨物自動車運送事業の許可、第一種貨物利用運送事業の登録または第二種貨物利用運送事業の許可を受けていること②引越に関わる全ての事業所のうち、引越の実運送を行う全ての事業所が「安全性優良事業所(Gマーク)」であること。3年間はGマークを取得できない新設事業所等やむを得ない理由により、Gマーク未取得事業所がある場合は、別途定める認定基準に規定する要件を満たしていること③引越に関わる全ての事業所に全ト協が行う引越管理者講習の修了者が1人以上在籍していること。
審査基準は、①引越における約款を遵守していること②苦情等に対する対応体制および責任の所在の明確化を図っていること③適切な従業員教育を行っていること④適正な広告表示を行っていること⑤適正な廃棄物処理等を行っていること―の5項目。
審査に当たっては、事業者委員を含まず外部メンバーで構成する審査委員会を設置する。同委員会は、全ト協会長の諮問を受けて別途定める認定基準にのっとり審査し、結果を報告する。審査作業は7月15日から11月にかけて行い、その終了後、審査委員会を開催する。この結果を受け、全ト協会長は引越優良事業者と認定した引越事業者等に対して、認定証を授与し、認定マークとステッカーの使用を許可する。認定事業者発表に伴い、認定証等を発送。認定事業者等は全ト協ホームページなどで公表する。
そして、3年の有効期間が満了した場合や引越事業者等でなくなった場合、認定証の返納が受理された場合は、認定は失効する。また、申請に不正があった場合、申請資格と基準の要件を満たさなくなった場合、認定証や認定マーク等を不正に使用した場合は、認定を取り消す。
申請料として実費の一部を収受し、申請する引越事業者等の引越に関わる全ての事業所の数およびGマーク未収得事業所数によって差を設ける。また引越講習の受講には実費の一部を収受する。制度運営に当たっては、引越事業者優良認定制度準備委員会のメンバーを主体に構成する運営委員会を設置する。同委は認定制度に関わる認定基準の改正など制度上の重要事項について、全ト協会長の諮問を受け、答申を行う。
同制度開始に伴い全ト協では、苦情等への対応には、国民生活センター等とも相談しながら、苦情や相談等を受け付ける専用の窓口を設け、認定事業者の担当者とも密接な連携を図りながら、消費者等への対応を図っていきたいとしている。