軽油価格高騰分転嫁の実態調査など実施 国交省が「トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議」
国土交通省は1月30日、東京・霞が関の同省で「トラック輸送適正取引推進パートナーシップ会議」を約10ヵ月ぶりに開き、4月から施行される運送契約書面化の中小事業者への浸透や実効性のあり方などについて議論した。
冒頭あいさつした田端浩自動車局長は、「トラック産業は国内物流を支える重要な基幹産業だが、中小・零細事業者が多く、経営が厳しい。安全な輸送には、適正な取り引きが大変重要であることから、昨年来の議論を踏まえ、運送契約の書面化の内容を決めた」と説明。4月の消費増税についても、確実な転嫁が行われるよう政府を挙げて取り組むとの姿勢を強調するとともに、アベノミクスの効果を幅広く浸透させ、拡大した収益を働く人の賃金や雇用につなげることが重要であると指摘した。
議事では、運送契約書面化の推進や軽油高騰対策、消費税転嫁対策などについて議論。
書面化について説明した加賀至貨物課長は、1月22日付で公布された「適正な取引の確保および輸送の安全を阻害する行為の防止等のための省令等の改正について」は、✔貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正■「トラック運送業における書面化推進ガイドライン」の制定□標準貨物自動車運送約款の改正■荷主・元請事業者、利用運送事業者への通達・要請―のパッケージ施策であるとし、ガイドラインについては、昨年5月のパブリックコメントを踏まえ、荷主への協力要請記載や積合せ、引越、霊きゅう、廃棄物運送を書面化の対象外とするなどの修正を行ったことを報告した。
これに対し委員からは、「施行後、書面化が確実に行われているか、フォローアップする必要がある」(松島茂東京理科大大学院教授)、「地方でのパートナーシップ会議開催などを通じ、広く書面化について浸透させる必要がある」(山浦正生運輸労連委員長)、「同業者間の“抜けがけ”をどうチェックするかが重要」(山口浩一交通労連委員長)など、書面化の実効性をどう担保するかや浸透のあり方などについての意見が出された。
これに対し加賀課長は、現在10%程度あるとみられる口頭での取り引きをどう書面化させるかが重要であるとの考えを示し、毎年定着率をチェックする体制を整えるとした。
実態調査で周知度など把握
軽油高騰対策について加賀課長は、燃料サーチャージ導入推進に向け、全国で説明会や経済団体への理解要請などを行っていることを報告するとともに、サーチャージ制について、✔周知度・習熟度■荷主との間の転嫁進捗(しんちょく)度合□荷主業種による転嫁の違い■下請けの申し入れに対する意向―を質問項目に盛り込んだ実態調査を行うとした。
これに対し委員からは、「実態調査には継続的に協力したい。調査結果の分析によって周知方法の見直しや拡充につながると思う」(佐藤正弥経団連産業政策本部主幹)、「昨年末からトラック不足が顕在化し、サーチャージなら運賃値上げより対応しやすいという荷主も多くなっている。サーチャージの周知に加えて、アイドリングストップなど使用軽油削減につながる補助金の拡大もお願いしたい」(浅井隆東ト協副会長)、「サーチャージは、荷主との交渉の切り口の一つとして有効だが、計算式が複雑なので、単純化してほしい。ドライバー不足が今以上に深刻化してくれば、荷主からサーチャージを提案してくることもありうる」(富田博行日本通運業務部専任部長)などの意見が出された。
消費増税への対応について加賀課長は、昨年10月に本省と地方運輸局・支局に相談窓口を設置したことなどを説明した。