運送契約書面化推進へガイドラインなど制定、4月1日から公布 国交省
適正取引推進でトラックの安全阻害行為を防止へ―。
国土交通省は、トラック運送業での適正取引や安全運行の確保を目的とした貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正、「トラック運送業における書面化推進ガイドライン」の制定、標準運送約款の改正などについて、あさって22日に公布、4月1日に施行することを決めた。
トラック運送業では、荷主からの無理な発注による過労運転などが安全運行を阻害する要因として指摘されており、その是正を求める声が高まっている。こうした状況に対し、国土交通省では昨年から運送契約の書面化など適正取引の推進に向けた検討を進めてきた。
今回行われる貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正では、「一般貨物自動車運送事業者等は、運送条件が明確でない運送の引受け、(略)運送契約によらない附帯業務の実施に起因する運転者の過労運転または過積載による運送その他の輸送の安全を阻害する行為を防止するため、荷主と密接に連絡し、および協力して、適正な取引の確保に努めなければならない」とする条文を新設。
運送契約の書面化については、昨年2月に開かれた「トラック産業に係る取組作業部会」の第1回会合で昨年夏までに改正省令公布のスケジュールが示されたが、運送事業者の事務負担増大などの懸念が示されたことなどから、8~9月に実証実験を実施。その結果、IT上での承認や下請法3条書面など既存の書面の活用により、事務負担や人件費の増大にはつながらないとの結果が出たことなどから、パブリックコメントでの意見などを反映させた上で、運送引受書面の必要記載事項や記入例を示したガイドラインを制定する。
標準運送約款の改正では、個人以外が荷送人である場合には、運送状を提出しなければならないこととし、運賃のほか、燃料サーチャージや有料道路料金などの支払いに関する事項を記載する必要があると明記する。
また、車両留置料について収受することを新たに明記するほか、附帯業務についても、検収、検品、一定の時間、技能、機器などを必要とする業務を新たに追加した。
22日付で、全ト協や経団連などの荷主団体、通運連盟、JIFFAなどの貨物利用運送事業者団体あてに輸送安全規則改正やガイドライン制定などについての通達を行い、貨物利用運送事業者団体あてには運行管理者講習の受講など運行管理上の規則などに関する習熟を併せて求める。
また、荷主団体向けでは、「荷主等の行為が貨物運送事業者の安全運行を阻害したまたはその恐れがある事例」として、①非合理的な到着時間の設定②やむを得ない遅延に対するペナルティの設定③貨物量に対し積載量の少ない車両指定④契約にない附帯作業―などを例に挙げ、これらの行為が認められた場合には、調査の上、悪質性の高い場合には、荷主勧告などを行うとしている。
来年度は、書面化の実施状況についてのフォローを行うとともに、今年度開催しているセミナーに準ずる啓発活動を行っていく計画。