軽油高騰対策など求め、『業界要望実現する会』開催 全ト協、道運研
全ト協(星野良三会長)と道路運送経営研究会(道運研、坂本克己会長)は5日、東京・千代田区の「ザ・キャピトルホテル東急」で軽油価格高騰に伴う経営危機突破に向けた『トラック業界の要望を実現する会』を開催した。自民、公明両党の各トラック議連を中心とする衆参議員を前に業界の窮状を訴え、燃料費を補填する補助金の創設はじめ、軽油引取税の旧暫定税率の廃止、地球温暖化対策税の還付措置、高速道路料金の引き下げなどを要望し、その実現方を強く求めた。自民・公明両党の議員からは年末に向けた税制改正、予算編成にあたり、要望実現に全力を尽くしたいとの決意が示された。
要望を実現する会には全国から150人の事業者が参集、国会議員は自民党トラック輸送振興議員連盟、公明党トラック問題議員懇話会の議員中心に自民・公明両党の衆参議員150人が出席。開会冒頭、全ト協・星野会長、道運研・坂本会長、全ト協・小幡全ト協税制・交付金委員長から、細田博之自民党トラック議連会長、高木陽介公明党トラック議連幹事長に要望書を手渡した。
主催者を代表して星野会長があいさつし、軽油高騰で2009年度に比べ業界全体の負担増は年間6400億円にも及び、安定した輸送力確保が非常に困難になっているとし、また災害時の役割も訴えて、補助金の創設等要望事項実現に向け政府与党としての早急な検討方を強く求めた。
これを受けて、来賓として細田自民党トラック議連会長があいさつし、燃料高騰で甚大な被害をこうむっているのがトラック運送業界であるとして、議連として自民・公明両党が協議して年末までに予算措置を講じていきたいと述べた。そして「皆さま方の業況が上昇気流に乗るように一生懸命頑張ることをお誓い申しあげたい」と語った。
次いで、国会の関係で欠席した北側一雄公明党トラック議連会長に代って高木トラック議連幹事長があいさつ。災害列島・日本を守っていくためにはなくてはならない業界であり、軽油高騰問題は単なる一業界の問題ではなく、国家の問題であるととらえるべきとして、要望実現のため自民党トラック議連と連携し年末の税制改正、予算編成に向けて全力をあげて取り組んでいきたいと述べた。
福本秀爾全ト協理事長による要望事項説明のあと、事業者の意見開陳に移り、まず三浦文雄全ト協副会長がアベノミクス効果の恩恵を全く受けておらず、まさにその被害者であるとして、健全な事業を行うことができるよう軽油高騰対策としての補助金を創設して、「われわれを助けてほしい」と訴えた。次いで奈良幹男札幌地区トラック協会長は、軽油引取税が一般財源化されても農業、船舶等は課税免除のままで全く不公平。少なくとも旧暫定税率分17円10銭を撤廃し少しでもトラック運送事業者の負担を軽減するべきだと主張した。
また加藤浩幸静岡ト協副会長は、石油石炭税の地球温暖化対策のための課税特例について、船舶等と同様に還付措置を早急に適用し、課税の公平性を貫くべきと要請した。馬渡雅敏佐賀ト協会長は、総務省の自動車税制のあり方に関する検討会の報告書に税の営自格差が合理性を欠き、営業用の税率を引き上げ自家用との税率格差を是正すべきと記載してあることを採りあげ、本末転倒であるとして、営自格差縮小の案はなくしてほしいと要望した。
田中亨滋賀ト協副会長は、サーチャージ導入の要請が荷主企業には行き届いていないとして、国交、経産の両大臣連名で直接荷主企業に対し燃料サーチャージ導入を要請すれば、大きなインパクトを与えることができると提起した。御手洗安愛媛ト協副会長は、財源を生み出し高速道路料金の引き下げを図るべきとして、大口多頻度割引の拡充などを求めた。
意見交換では、古屋圭司国家公安委員長が発言し、中型運転免許問題に言及して世界のスタンダードをしっかり見るべきであるとし、また高校新卒の就職にネックとなっていることは極めて問題であるとして、有識者検討会で見直しを進めていることを紹介。それには施行規則改正と、法律改正の2つの方法があるとし、関係者の要望をしっかりと聞きながら、事故が増えることのないよう、意見をまとめていくとの考えを示した。
片山さつき参院議員、赤羽一嘉衆院議員、宮内秀樹衆院議員が要望実現に努める旨意見を述べた。 最後に全員で、坂本道運研会長の発声でシュプレヒコールし、閉会した。