燃料高騰対策の実現へ強力な運動展開を、全ト協が事業者大会開く
全ト協(星野良三会長)は「トラックの日」の9日、札幌市の「ニトリ文化ホール・ホテルさっぽろ芸文館・ロイトン札幌」で『第18回全国トラック運送事業者大会』を開催。当面の最大の課題となっている軽油高騰対策推進等を掲げた大会決議を採択するとともに、対策本部を設置し積極的に対策を推進している取り組みについて特別報告を行い、その実現に向け強力な運動展開を呼びかける大会となった。全国から1500人を超える事業者らが参加した。
全体会議は、開催地ブロック(北海道)協会・伊藤昭人会長のあいさつに続き、星野全ト協会長が主催者あいさつ。円安等よる燃料価格高騰で事業者の軽油価格は平成21年3月と比べ1㍑当たり40円値上がりし、業界全体で年間6650億円の負担増になり、事業存続の危機に直面、安定した輸送を確保していくことが困難となっていると訴えた。そして全ト協は都道府県ト協とともに燃料価格高騰対策本部を設置し、政府与党に対し補助制度創設など救済措置を要望するとともに、燃料サーチャージ導入促進の荷主要請など運動を展開しているとした。また、中型免許問題について、警察庁の有識者検討会が設置され制度見直しに向けて始動、労働者不足問題解決に向け「大きな一歩を踏み出した」と期待を寄せた。
その上で、大会は諸課題に対し業界が一丸となって、積極的に取り組む姿を広く世に訴える貴重な場であるとして、明るい未来を切り開くため、総力を結集して頑張っていこうと呼びかけた。
二つの分科会に分かれての討議のテーマは、第1が「トラック業界の安全対策の構築について」、第2が「トラック業界を巡る現状と課題」。第1ではドラレコ等車載機器の導入・活用による事故防止対策に焦点を当てた報告・討議が行われ、映像情報の共有が社内コミュニケーションに好影響をもたらすことなどを確認。第2は特に原価意識向上による経営基盤強化などについて報告・討議。第1は高柳勝二プロデキューブ代表取締役、第2は樋口恵一川崎陸送社長をコーディネーターに、それぞれ3社の代表がパネリストを務めた。
記念講演会に移り、オーナーシェフの勝山良美氏が「ゼロから創る発想がこれからの経営だ」、田端浩国交省自動車局長が「トラック業界を巡る現状と課題」について講演。再開した全体会議では、「鈴木賞」の功績紹介と授与式を行い、緊急救援物資輸送体制整備などの功績で福岡ト協、東日本大震災被災者に対する支援活動の功績で全ト協青年部会を表彰。
この後、大髙一夫副会長が「燃料価格高騰対策に関する特別報告」。燃料高騰対策を迅速・的確に実施するため、燃料価格高騰対策本部を設置することとしたことを報告。政府与党議員への陳情・要望活動の展開、サーチャージ導入に向けた荷主団体等への協力要請、セミナーの開催などを推進していることを紹介。軽油供給施設新・増設への補助、燃料高騰対策の特別融資・補完融資の追加公募などの実施を明らかにし、一般、事業者への広報・啓発活動も積極的に行っていることを報告、最後に「全ト協と都道府県ト協が一体となって、燃料高騰対策の実現に向け強力な運動を展開していこう」と呼びかけた。
次いで、◎軽油高騰対策の推進および軽油引取税の当分の間税率の廃止◎高速道路料金の引き下げおよび大口多頻度割引制度の拡充◎規制緩和の見直しの促進◎5超車両の18歳から運転可能な制度の実現◎地球温暖化対策税の還付制度の創設および自動車関係諸税の簡素化・軽減―などを盛り込んだ大会決議を満場の拍手で採択。
田端自動車局長、高橋はるみ北海道知事の来賓あいさつの後、次回開催ブロック(九州)協会の原重則会長のあいさつ、全員によるガンバローコールを経て閉会。