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2013年10月14日付 2492号

燃料高騰対策の実現へ強力な運動展開を、全ト協が事業者大会開く

事業者大会のもよう

 全ト協(星野良三会長)は「トラックの日」の9日、札幌市の「ニトリ文化ホール・ホテルさっぽろ芸文館・ロイトン札幌」で『第18回全国トラック運送事業者大会』を開催。当面の最大の課題となっている軽油高騰対策推進等を掲げた大会決議を採択するとともに、対策本部を設置し積極的に対策を推進している取り組みについて特別報告を行い、その実現に向け強力な運動展開を呼びかける大会となった。全国から1500人を超える事業者らが参加した。

 全体会議は、開催地ブロック(北海道)協会・伊藤昭人会長のあいさつに続き、星野全ト協会長が主催者あいさつ。円安等よる燃料価格高騰で事業者の軽油価格は平成21年3月と比べ1㍑当たり40円値上がりし、業界全体で年間6650億円の負担増になり、事業存続の危機に直面、安定した輸送を確保していくことが困難となっていると訴えた。そして全ト協は都道府県ト協とともに燃料価格高騰対策本部を設置し、政府与党に対し補助制度創設など救済措置を要望するとともに、燃料サーチャージ導入促進の荷主要請など運動を展開しているとした。また、中型免許問題について、警察庁の有識者検討会が設置され制度見直しに向けて始動、労働者不足問題解決に向け「大きな一歩を踏み出した」と期待を寄せた。
 その上で、大会は諸課題に対し業界が一丸となって、積極的に取り組む姿を広く世に訴える貴重な場であるとして、明るい未来を切り開くため、総力を結集して頑張っていこうと呼びかけた。

 二つの分科会に分かれての討議のテーマは、第1が「トラック業界の安全対策の構築について」、第2が「トラック業界を巡る現状と課題」。第1ではドラレコ等車載機器の導入・活用による事故防止対策に焦点を当てた報告・討議が行われ、映像情報の共有が社内コミュニケーションに好影響をもたらすことなどを確認。第2は特に原価意識向上による経営基盤強化などについて報告・討議。第1は高柳勝二プロデキューブ代表取締役、第2は樋口恵一川崎陸送社長をコーディネーターに、それぞれ3社の代表がパネリストを務めた。

 記念講演会に移り、オーナーシェフの勝山良美氏が「ゼロから創る発想がこれからの経営だ」、田端浩国交省自動車局長が「トラック業界を巡る現状と課題」について講演。再開した全体会議では、「鈴木賞」の功績紹介と授与式を行い、緊急救援物資輸送体制整備などの功績で福岡ト協、東日本大震災被災者に対する支援活動の功績で全ト協青年部会を表彰。

 この後、大髙一夫副会長が「燃料価格高騰対策に関する特別報告」。燃料高騰対策を迅速・的確に実施するため、燃料価格高騰対策本部を設置することとしたことを報告。政府与党議員への陳情・要望活動の展開、サーチャージ導入に向けた荷主団体等への協力要請、セミナーの開催などを推進していることを紹介。軽油供給施設新・増設への補助、燃料高騰対策の特別融資・補完融資の追加公募などの実施を明らかにし、一般、事業者への広報・啓発活動も積極的に行っていることを報告、最後に「全ト協と都道府県ト協が一体となって、燃料高騰対策の実現に向け強力な運動を展開していこう」と呼びかけた。

 次いで、◎軽油高騰対策の推進および軽油引取税の当分の間税率の廃止◎高速道路料金の引き下げおよび大口多頻度割引制度の拡充◎規制緩和の見直しの促進◎5超車両の18歳から運転可能な制度の実現◎地球温暖化対策税の還付制度の創設および自動車関係諸税の簡素化・軽減―などを盛り込んだ大会決議を満場の拍手で採択。

 田端自動車局長、高橋はるみ北海道知事の来賓あいさつの後、次回開催ブロック(九州)協会の原重則会長のあいさつ、全員によるガンバローコールを経て閉会。

輸送障害発生時の情報提供「コンテナ単位」に改善  JR貨物

 JR貨物(田村修二社長)は8日、鉄道利用運送事業者に対し、同社の情報システム「IT―FRENS」上で、「コンテナ単位」の運行情報提供を開始した。これにより同社では、従来から大きな課題とされてきた、輸送障害発生時の利用運送事業者、真荷主への情報提供について、迅速かつより詳細な内容に改善されたとしている。

 JR貨物は今年3月から、列車遅延が発生した際、鉄道利用運送事業者に対して「IT―FRENS」上で、列車がどこで止まっているのかといった「列車単位」の運行情報の提供を開始していた。

 今回は、情報提供の充実化を目的に同システムを改修し、輸送障害が発生した場合、貨物指令が事故内容、影響列車、到着見込みをシステムに入力するよう変更した。これにより利用運送事業者は、システム上で「コンテナ単位」の現在位置、遅延理由、到着見込みを参照できるようになり、利用運送事業者からJR貨物への照会の手間が省けるほか、真荷主への情報伝達速度の改善が図られるという。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『「北斗」と中国の輸送車両追跡』
    ☆四文字『受益者が負う「費用負担」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑱』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省関東運輸局・佐藤英之交通環境部長

  • ☆鉄道功労者の大臣表彰
    ☆日本郵便、公社時代も含め初めて上海に現地法人
    ☆交運労協が定期総会、藤井議長らを再任
    ☆NASVAが安全マネジメントセミナー、睡眠と健康管理などテーマに約750人が参加 
    ☆日本パレット協会が「アジアのパレットの日」のポスターを作製
    ☆国交省、災害に強い物流システムへハンドブック発行
    ☆東ト協、防災イベントでトラックの役割PR
    ☆日通労連が定期大会、難波新会長を選任
    ☆運輸労連が運研集開く、2014春闘は配分求める闘いに
    ☆東京交運労協、駐車規制緩和等訴え「トラックの日」行動
    ☆ヤマト労連が定期大会、上杉副会長を新任
    ☆JIFFA、実用英語通信文講座の成績優良者を招き修了証授与
    ☆通運連盟が流経大で寄付講座、来年1月まで全14回
    ☆SGRとザイマックス、私募リート運用目的の合弁会社設立
    ☆QVCジャパン、当日・翌日配送サービス「スピード便」導入
    ☆SGモータース、オリジナルボトラーカー「FVV」出荷累計が500台に
    ☆日本郵便と日本航空、シンガポールへの食品小口保冷配送
    ☆通運連盟の養生資材への助成制度、一次募集で枠超過
    ☆厚労省の昨年の監督指導結果、トラック関係事業場81.3%で労基違反
    ☆国交省の自動車運送事業の交通事故要因分析検討会、今年度は健康起因もテーマに

今週のユソー編集室

  • ▼10月9日は「トラックの日」だ。今年もその前後の期間、各都道府県トラック協会を中心に、さまざまなイベントが行われている。全ト協も一般紙に意見広告を掲載した。
    ▼その広告を見ると、一番上には大きな文字で「燃料高騰でトラックが止まる!」と書かれ、その下には震災直後に撮影したのであろう、ガレキで埋まる宮城県女川町の被災地を行く、救援物資を輸送するトラックの写真が掲載されている。
    ▼一見してインパクトのある広告で、トラックが止まるとどうなるのか、コンビニエンスストアから商品が消えた、当時の記憶がよみがえってくる。トラックこそ国民生活の、経済活動の、ライフラインだと実感する。
    ▼各ト協が行っているイベントの一覧をみると、真面目なものから楽しげなものまで、いろいろな企画が挙げられている。イベントに参加した方がトラック輸送への理解を深め、その主張に納得してもらえるよう、願ってやまない。

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