アジアパイロット事業など物流の新規事業盛り込む 国交省の14年度予算概算要求
8月30日、各省の2014年度予算概算要求が出そろった。国土交通省は、東日本大震災からの復興加速や国民の安全・安心の確保、経済・地域の活性化を柱に13年度当初予算比16%増の5兆8591億円を要求。物流関連では、効率的な物流ネットワーク強化に向けた道路整備2037億円や国際コンテナ戦略港湾政策の深化536億円をはじめ、新規として物流総合力の見える化や電子商取引物流における3PLサービス化推進など「物流産業イノベーションの推進」として1億円を盛り込んだ。自動車局関係では、ASV補助などの総合安全対策を10億1600万円要求したほか、新規として事業用自動車の事故調査委員会設置に向け7千万円を求めている。
物流関係では、新規に「アジア物流パイロット事業」として、海外でわが国物流システムの普及に向けた課題抽出のための実証実験を官民連携で行う。具体的なイメージとしては、ASEAN内での海陸一貫輸送による輸送の迅速化やミャンマー内陸輸送の貨物鉄道へのモーダルシフト、メコン域内クロスボーダー輸送の円滑化などを挙げている。
「物流産業イノベーションの推進」では、①物流総合力の見える化推進(物流KPIの導入促進)②北東アジア物流情報サービスネットワーク(NEAL-NET)のASEAN諸国等への展開③電子商取引物流(EC物流)における3PLサービス化推進-をメニューとして挙げている。
物流KPIの導入促進では、荷主と物流事業者が一体となって物流業務の改善に取り組めるよう、双方にとって必要な物流のための指標を設定し可視化する。
EC物流における3PLサービス化の推進では、「少量多品種」「配送先が全国の多数個別消費者」などの特徴を持つネット通販物流に中小物流事業者が対応できるよう荷主と物流事業者が共通して活用できるガイドラインの策定や複数の事業者が共通して利用可能な「物流情報システム共通プラットフォーム」の構築に向けた検討を行う。
災害に対するわが国物流システムの強靭(きょうじん)化と、災害に強い広域物資拠点の整備促進については2億6700万円の内数で要求。
モーダルシフト等の推進については、これまでの単なる鉄道・船舶へのシフトではなく、業種や企業規模を超えた複数の荷主の貨物を混載したコンテナのシフトを対象としたものに改め6300万円を求めた。
このほか環境省との連携で、地域内の共同輸配送や中距離輸送での大型CNGトラック輸送、モーダルシフト促進のためのトラクタヘッド、31?コンテナなどの導入経費補助を行う。