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2013年9月2日付 2487号

アジアパイロット事業など物流の新規事業盛り込む  国交省の14年度予算概算要求

 8月30日、各省の2014年度予算概算要求が出そろった。国土交通省は、東日本大震災からの復興加速や国民の安全・安心の確保、経済・地域の活性化を柱に13年度当初予算比16%増の5兆8591億円を要求。物流関連では、効率的な物流ネットワーク強化に向けた道路整備2037億円や国際コンテナ戦略港湾政策の深化536億円をはじめ、新規として物流総合力の見える化や電子商取引物流における3PLサービス化推進など「物流産業イノベーションの推進」として1億円を盛り込んだ。自動車局関係では、ASV補助などの総合安全対策を10億1600万円要求したほか、新規として事業用自動車の事故調査委員会設置に向け7千万円を求めている。

物流関係では、新規に「アジア物流パイロット事業」として、海外でわが国物流システムの普及に向けた課題抽出のための実証実験を官民連携で行う。具体的なイメージとしては、ASEAN内での海陸一貫輸送による輸送の迅速化やミャンマー内陸輸送の貨物鉄道へのモーダルシフト、メコン域内クロスボーダー輸送の円滑化などを挙げている。

 「物流産業イノベーションの推進」では、①物流総合力の見える化推進(物流KPIの導入促進)②北東アジア物流情報サービスネットワーク(NEAL-NET)のASEAN諸国等への展開③電子商取引物流(EC物流)における3PLサービス化推進-をメニューとして挙げている。

 物流KPIの導入促進では、荷主と物流事業者が一体となって物流業務の改善に取り組めるよう、双方にとって必要な物流のための指標を設定し可視化する。

 EC物流における3PLサービス化の推進では、「少量多品種」「配送先が全国の多数個別消費者」などの特徴を持つネット通販物流に中小物流事業者が対応できるよう荷主と物流事業者が共通して活用できるガイドラインの策定や複数の事業者が共通して利用可能な「物流情報システム共通プラットフォーム」の構築に向けた検討を行う。

 災害に対するわが国物流システムの強靭(きょうじん)化と、災害に強い広域物資拠点の整備促進については2億6700万円の内数で要求。

 モーダルシフト等の推進については、これまでの単なる鉄道・船舶へのシフトではなく、業種や企業規模を超えた複数の荷主の貨物を混載したコンテナのシフトを対象としたものに改め6300万円を求めた。

 このほか環境省との連携で、地域内の共同輸配送や中距離輸送での大型CNGトラック輸送、モーダルシフト促進のためのトラクタヘッド、31?コンテナなどの導入経費補助を行う。 

西濃運輸と福山通運が日曜日や盆休期に拠点間で共同運行

 福山通運と西濃運輸は8月26日、日曜日やお盆時期など物量が少なくなる時期に拠点間幹線輸送の共同運行を開始したと発表した。

 両社は、3月に戦略的物流システム構築のための業務提携を行い、同一の配達先を共同一括配送する「エコ デリバリー」を展開している。このほど開始した拠点間幹線輸送での共同運行は、「エコ デリバリー」を発展させたもので、日曜日に、岐阜県大垣市・岐阜市~愛知県北名古屋市間を共同運行することで、4トン車の2コース分を削減。1日にCO2排出量を46キログラム削減できるとしている。

 また、お盆には広島県福山市~岐阜市・愛知県北名古屋市間で共同運行を行い11トン車3コース分、1日当たり694.9キログラムのCO2排出を削減している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆これだけは知っておきたいアジア進出の落とし穴⑤『ベトナム』
    ☆四文字『走り易いか?「国道調査」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑯』
    ☆インタビュー『SAS検査の受診者増加』、高橋SAS対策センター理事長

  • ☆国交省、過労運転の防止支援へ28機器を追加選定
    ☆試験センター、13年度第1回運管試験の受験者が4年ぶり3万人台超える
    ☆日貨協連、WebKIT東地区の全国実務担当者研修会を開催
    ☆花岡日本通運取締役が会見、「メガフォワーダーと伍して戦えるグローバルフォワーダー目指す」
    ☆三井倉庫、メキシコ向け混載サービス開始
    ☆通販協が折込広告調査結果を発表、「表示方法を厳正に判断」
    ☆グリーン購入ネットワーク、輸配送契約に関するガイドライン制定
    ☆国交省の増田次官が見解、「自動車運送事業の規制緩和負の面の検証必要」
    ☆運輸労連東京、定期大会で米田委員長らを再選
    ☆国交省、来年3月末までに点呼励行の啓発運動
    ☆日通、ペーパーリサイクル1ヵ月無料キャンペーン
    ☆SGHDの広報CSRユニットが企業広報功労・奨励賞受賞、「佐川男子」が評価
    ☆国交省が国際コンテナ戦略港湾政策推進委が中間まとめで5年以内に欧州航路週3便へ
    ☆国交省の田端自動車局長が会見、「運送契約の書面化へ荷主に理解求める」
    ☆西濃運輸、仙台市宮城野区内に新仙台支店を着工

今週のユソー編集室

  • ▼「安全で環境に優しく、健康にもいい」という印象から、近年自転車の愛好家が増えているように感じられる。国道筋ではカラフルなウェアに身を包んだ自転車運転者を目にすることも、珍しくなくなった。
    ▼反面、特に都市部において、運転マナーの悪さに閉口するケースも増えた。携帯電話を操作しながらの運転など序の口、信号無視や飛び出し、交差点のナナメ横断など、一部の運転者に限られるとは思うが、「やりたい放題」の様相だ。
    ▼都内では、交通事故全体に占める自転車関与率が、2008年以降毎年30%以上を記録し、全国平均を10ポイント以上上回っている。20歳代と30歳代の事故が多いのも、都内の事故の特徴となっている。
    ▼こうした中、「ほぼ人力」をうたう宅配のエコ配が、このほど自転車安全利用モデル企業に指定された。一般の自転車運転マナーを少しでも向上させるため、他の宅配企業も積極的に取り組んでほしいと思う。

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