中国での事業拡大の最重要点は優秀な現地社員の確保 国土交通政策研究所が中小物流事業者実態調査結果まとめる
国土交通政策研究所は2日、「中国に進出している中小物流事業者の実態に関する調査研究」の結果を公表。アンケートに回答した物流事業者の76%が事業拡大局面における組織運営上の重要なポイントに「優秀な中国人社員の確保」を挙げ、35%が「現地に合わせた人材育成システム」を指摘するなど、中国でも「人材の確保・育成」が物流ビジネスの大きな鍵となっていることが分かった。
調査は、昨年11月から今年1月にかけて、中国で物流ビジネスを行う資本金10億円未満の日系物流事業者64社にアンケート用紙を配布。このうち、27社から有効な回答を得て、11社に追加のヒアリングを行った。調査では、累積収支が黒字となっている15社をA群、赤字となっている12社をB群として分析を行っている。
中国進出からの経過年数は平均14年で、A群は平均17年強、B群は平均10年弱であり、累積収支黒字化を達成している事業者は比較的長く中国で事業を運営している。進出時と直近1年の売上高について回答があった17社のうち、16社は進出時に比べ直近1年の売上高が増加している。また、従業員数について回答のあった19社のうち16社が進出時に比べ、直近1年の従業員数が増加している。
中国市場での競合先については、進出当時は日系大手事業者44%、中国系事業者28%だったが、直近1年では日系大手31%、中国系44%と、主要な競合先が逆転している。中国への進出理由は、「既存荷主が進出したことを機会に」が59%と半数を上回っているが、このうちA群事業者は87%、B群が25%と大きな開きがある。中国進出時の重要なポイント(複数回答)については、「優秀な現地パートナーの確保」と「優秀な中国人社員の確保」がともに96%で、「駐在員のリーダーシップ」の91%を上回っている。
事業拡大時に重要な事業運営ポイント(複数回答)については、「優秀な中国人社員の確保」が76%と突出して高く、以下、「優秀な現地パートナーの確保」(41%)、「現地に合わせた人材育成システム」(35%)などとなっている。