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2013年8月12日付 2485号

中国での事業拡大の最重要点は優秀な現地社員の確保  国土交通政策研究所が中小物流事業者実態調査結果まとめる

 国土交通政策研究所は2日、「中国に進出している中小物流事業者の実態に関する調査研究」の結果を公表。アンケートに回答した物流事業者の76%が事業拡大局面における組織運営上の重要なポイントに「優秀な中国人社員の確保」を挙げ、35%が「現地に合わせた人材育成システム」を指摘するなど、中国でも「人材の確保・育成」が物流ビジネスの大きな鍵となっていることが分かった。

 調査は、昨年11月から今年1月にかけて、中国で物流ビジネスを行う資本金10億円未満の日系物流事業者64社にアンケート用紙を配布。このうち、27社から有効な回答を得て、11社に追加のヒアリングを行った。調査では、累積収支が黒字となっている15社をA群、赤字となっている12社をB群として分析を行っている。

 中国進出からの経過年数は平均14年で、A群は平均17年強、B群は平均10年弱であり、累積収支黒字化を達成している事業者は比較的長く中国で事業を運営している。進出時と直近1年の売上高について回答があった17社のうち、16社は進出時に比べ直近1年の売上高が増加している。また、従業員数について回答のあった19社のうち16社が進出時に比べ、直近1年の従業員数が増加している。

 中国市場での競合先については、進出当時は日系大手事業者44%、中国系事業者28%だったが、直近1年では日系大手31%、中国系44%と、主要な競合先が逆転している。中国への進出理由は、「既存荷主が進出したことを機会に」が59%と半数を上回っているが、このうちA群事業者は87%、B群が25%と大きな開きがある。中国進出時の重要なポイント(複数回答)については、「優秀な現地パートナーの確保」と「優秀な中国人社員の確保」がともに96%で、「駐在員のリーダーシップ」の91%を上回っている。

 事業拡大時に重要な事業運営ポイント(複数回答)については、「優秀な中国人社員の確保」が76%と突出して高く、以下、「優秀な現地パートナーの確保」(41%)、「現地に合わせた人材育成システム」(35%)などとなっている。

各種最新機器の導入で「止めない物流」体現へー厚木ゲートウェイが竣工式  ヤマトHD

 ヤマトホールディングス(木川眞社長)は6日、多機能スーパーハブ「厚木ゲートウェイ(GW)」の竣工式を行った。

 厚木GWは愛甲郡愛川町中津字桜台4001-8に所在。敷地面積が3万6580平方メートル、建物が鉄骨造り8階建て延べ床面積9万500平方メートルの規模。1、2階が宅急便の荷扱エリア、3、4階がクールエリア、5~8階が付加価値機能エリアとなっている。

 GWとは、小口多頻度BtoB市場での圧倒的な強み発揮を目的とした「バリュー・ネットワーキング」構想の中核的位置づけとなる施設。大都市圏の周縁部に置かれ、周辺ベースの荷物を集約し、他のGWに向けて幹線運行車を随時運行していく。これにより、現状70超のベース間でそれぞれ運行されている幹線系の大幅な効率化が実現するとともに、原則夜間のみの運行ダイヤの柔軟化が図られ、配達時間が大幅に短縮される。

 GWの第1弾となる厚木の施設が11日から稼働するのに合わせ、大阪などの既存施設を一部改装して、GW的な機能を付与し、年明けから試験的な運用を開始する。2014年には愛知・三河の施設を稼働させ、本格的な運用を開始する予定で、2015年には大阪にもGWを開設し、東名大間の当日配達を実現していく構え。

 バリュー・ネットワーキング構想の柱となる、「価値を付加しながら素早くネットワークを結節する『止めない物流』」を体現するため、最新スキャナの導入による発着同時仕分、満載時に600キログラムにも及ぶロールボックスパレットの移動負担を軽減させる「前詰め搬送機」、宅急便の荷扱を行う1階から付加価値機能を提供する上層階までを1本でつなぐ「スパイラルコンベア」、流動型ラックによる新たなピッキングシステム「FRAPS(フラップス)」など、効率化や配送迅速化を実現するための、各種の最新機器を導入している。 また、GWでは荷物の長期保管は行わず、広大なスペースは、各地で製造された製品・部品などを配達先向けに同梱する作業や、製品・部品の組立など、付加価値サービスを24時間提供するための場所として活用していく。

 6日に行った竣工式では、荷主や自治体、地元関係者など約500人を招待、木川社長やヤマト運輸の山内雅喜社長らも出席した。木川社長は主催者あいさつで、バリュー・ネットワーキング構想について説明した後、「われわれが作り上げる新しい物流ネットワークで、日本の成長戦略の役に立てればと思う。さまざまな領域で、さらなる付加価値を生み出せるよう、頑張っていきたい」と語るとともに、厚木GWについて、「圏央道の開通により、東名高速と関越道が結ばれれば、関東圏だけでなく、福島や新潟などにも当日配達圏を拡大できる」などと将来的な展望を示した。

 来賓あいさつでは、神奈川県の黒岩祐治知事(納屋次弘県央地域県政総合センター所長代読)が、「国内最大級の次世代物流施設により、周辺地域に大きな優位性がもたらされることを期待する」と同施設に対する期待感を表明した。映像による施設の紹介に引き続き、木川社長、山内社長、納谷所長、ヤマトホールディングスの瀬戸薫会長、戸田建設の今井雅則社長、関東運輸局の内田傑次長、日建設計の岡本慶一社長による起動式が行われた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『中国の成長モデル転換と物流雇用』
    ☆四文字『繊維が選ぶ「共同配送」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑭』
    ☆インタビュー、難波全日通中央委員長
    ☆人物ウィークリー、国土交通省関東運輸局自動車交通部長・奈良和美氏

  • ☆桝野国交審が就任会見、中小トラック事業者の海外進出後押しのためパイロット事業実施へ 
    ☆丸運、業務効率化狙いに10月新会社発足-関係会社5社統合
    ☆東ト協・大高会長が今後の運営方針語る
    ☆日本通運横浜支店、生鮮食品の配送拠点・中津物流センターの竣工式開催
    ☆酒井ナルキュウ社長がプロドライバー育成のノウハウ書を出版
    ☆日通商事、太陽光発電システム新たに2拠点で稼働
    ☆NASVAが業務説明会を開催、安全指導業務への民間参入促進図る
    ☆日本維新の会が陸運交通議連の設立総会、会長に平沼議員が就任
    ☆SBSHD、タイに用地を取得し初の海外物流センター建設へ
    ☆国交省が12年度の宅配便実績発表、通販好調で3年連続個数増加
    ☆日貨協連がKIT事業委開く、小委の委員長など選出

今週のユソー編集室

  • ▼今週はお盆期間に当たり、夏休みとなる企業も多いかもしれない。一方で365日営業が珍しくなくなってきた昨今、以前ほど閑散期という雰囲気は、感じられなくなった。
    ▼とはいうものの、やはりこの時期が、帰省や旅行など人口大移動の季節であることは変わらない。日本道路交通情報センターの発表によれば、きょう12日から17日までの期間、長さが35キロメートル以上に達する渋滞は、5回ほど発生するようだ。
    ▼高速道路に車があふれるこの時期、事前に分かっていることとはいえ、渋滞中の一般乗用車の運転マナーが悪化しがちなこともあって、トラックドライバーのストレスもまた、ピークを迎えるのではないだろうか。
    ▼折しも列島全体は猛暑に包まれている。この暑さが、人間や車両にどのような不備をもたらすか分からない。ドライバーの方々には、車両と自身の体調管理に気を配り、ぜひとも安全に過ごしていただきたいと願わずにはいられない

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