戦略港湾の混雑問題、運転者の拘束時間を厳守する運動展開へ 関東ト協海コン部会
関東ト協海上コンテナ部会(荒木俊夫部会長)は7月29日に開いた2013年度通常総会で、一向に改善されない京浜港と周辺道路の混雑・渋滞の解消に向け、10月から会員450社が一丸となって、ドライバーの拘束時間を守る遵守運動を展開する方針を固めた。
京浜港は、2010年に阪神港と並んで、国際コンテナ戦略港湾に選定され、国際コンテナ取扱量増加に向けた国内貨物のさらなる集荷などの方針が示された。一方で、京浜港のコンテナターミナルや周辺道路では、荷役待ちのトレーラによる混雑・渋滞が常態化。ドライバーの拘束時間も長時間化し、安全運行の阻害やコストアップ、ドライバーの離職などの問題がトレーラ事業者に重くのしかかっている。
東ト協海コン部会が主体となって12年11月に行った調査によると、青海地区A-1ターミナルで輸入コンテナの搬出と搬入を行う場合の平均待機時間は5時間8分となっており、ピーク時には10時間に迫ることも珍しくないという。こうした長時間におよぶ待機時間に、前後の運行・荷役時間を加えると、運行管理上の拘束時間を超えるケースが多く発生しているものとみられる。
関東ト協海コン部会では、長時間待機の解消に向け、関係機関への要望を行ってきたが、一向に抜本的な改善が図られないことから、ドライバーの拘束時間を遵守することで、「実力行使」に出ることを決めた。時期としては、10月1日の適正化実施機関による巡回指導結果報告強化に合わせスタートさせる計画で、9月までに海コン部会のない山梨県を除く管内各都県で説明会を開く。
具体的な運動内容は今後詰めるが、「全会員で抜け駆けのない、一糸乱れぬ形でやる」(荒木部会長)方針で、これにより「ターミナルオペレーターを事態改善に向けた土俵に上げさせる」(同)戦略を描いている。
一方で、荷主からの契約解除につながる可能性や拘束時間が切れた時に待機列から離脱できるかなどのオペレーション上の問題、その際のコンテナ保管料の負担の問題などを指摘する声もあり、荒木部会長も「(運動は)もろ刃の剣」との認識を示す。こうした課題点をクリアしながら、10月の運動開始に持ち込めるか、注目が集まる。