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2013年7月8日付 2481号

小口多頻度BtoB市場で圧倒的強み発揮へー「バリュー・ネットワーキング」構想を発表  ヤマトHD

 ヤマトホールディングス(YHD)の木川眞社長は3日に都内で記者会見し、小口多頻度輸送を中心としたBtoB市場において圧倒的な強みを発揮することを目的とした物流改革、『「バリュー・ネットワーキング」構想』を発表した。

 この構想は、①羽田クロノゲート、厚木ゲートウェイ、沖縄ハブの本格稼働による「止めない物流」②流動型ラックを利用したピッキングシステム「FRAPS(フラップス)」による、出荷場所・出荷形態・出荷量を問わない「クラウド型ネットワーク」③「国際クール宅急便」開始による世界初の「一貫保冷・国際小口輸送」ネットワーク④出荷から到着までシームレスにデジタル情報化することで、送り手、受け手が共有できる「物流の見える化」⑤受け手と送り手双方のニーズを同時に満たす「デマンド・チェーン視点」のイノベーション-を柱として推進していくもの。
 これにより、出荷側の業種や事業規模を問わず、輸送の迅速化や低コスト化、高品質を実現し、さらに総在庫量の削減といったメリットも提供できるという。

 同社では具体的な「物流改革」として、次のような事例をあげている。
 ◎主要マーケットの近くに最少在庫を分散させることで、最短4時間のスピード配送を提供。売れた分だけスピード補充するので、コストも在庫も増やさないサービスレベル向上を実現(通販事業者向け)。
 ◎年内に香港-日本間でサービスを開始する国際クール宅急便により、日本全国の生産地と香港を直結。圧倒的なリードタイム短縮と、万全の保冷技術で、第一次産業のアジアへの販路拡大によるアベノミクスの農業再生プランを支援(第一次産業生産者向け)。
 ◎さまざまな仕入先からの商材の、各店舗へのジャストインタイム一括納品を提供。メーカーの在庫削減とリードタイム短縮、店舗の生産性向上の両立を実現(流通・卸業者向け)。
 ◎国内・アジアに分散するサプライヤーから工場ラインまでのジャストインタイム一括調達を提供。調達リードタイム短縮と、在庫の圧縮、さらにサプライヤー側の納期延長を実現(機械メーカー向け)。
 ◎羽田クロノゲートの修理・メンテナンス機能の活用で、ユーザーへのスピード返送を提供。海外部品の調達を含めた一元管理で、最短24時間のスピードメンテナンスを実現(デジタル機器メーカー向け)。

 木川社長は会見で、今回の構想が路線便や宅急便の開始に続く「3回目のイノベーション」とした上で、「今までの日本にはない物流機能を展開していくことで、日本の成長戦略をインフラとして支えていく」と胸を張った。また、宅急便の取扱個数ベースでみた場合、今回の構想実現で企業発荷物の占める割合が85%程度から90%超にまで拡大されるとの見通しを示した。投資額は、羽田クロノゲートが1400億円、厚木ゲートウェイ(2015年に三河、2016年に関西地区でも稼働予定)がそれぞれ200億円であることを明らかにした。

大型商業貨物専用の全国配送インフラをアライアンスで構築  SGムービング

 SGムービングは3日、幹線輸送協力会社であるトールエクスプレスジャパン、近物レックスとのアライアンスにより、大型商業貨物の輸送に対応した全国配送インフラを構築したと発表した。新たな全国輸送網構築によりリードタイムを短縮させたとしている。

 同社ではグループ会社の佐川急便と、共同配送時に商品の組み立て・設置を行う高付加価値サービス「大型家具・家電設置輸送」を提供し、通常の宅配便では扱えない大型家具や家電などの輸送に対応しているが、大型・重量物であっても組み立てや設置の必要がない商品は、宅配便と同等レベルのリードタイムと価格抑制のニーズが高まっているため、大型商業貨物専用の全国輸送網を構築した。

 これにより、集荷から配達まで、宅配便とほぼ同等のリードタイムと高品質配送を実現したとし、佐川急便の宅配便と複合的に活用することで、幅広い顧客ニーズへの対応が可能になるとしている。

 今後、大型商業貨物に加えて、大型宅配貨物配送のインフラ構築を予定している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆新連載、物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か①
    ☆四文字熟語『輸送の実態「長距離化」』
    ☆日中ビジネスワンポイント「中国の若者と日本の若者の違い」
    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑫』
    ☆人物ウイークリー、国土交通省関東運輸局埼玉運輸支局長・真秀和正氏

  • ☆全ト協「引越安心マーク」デザイン募集
    ☆国交省、モーダルシフト等推進事業8月5日まで募集
    ☆国交省、海コン輸送の安全確保でマニュアルを策定
    ☆国交省の電気自動車導入促進、地域交通グリーン化トラック4件決定
    ☆運輸労連が定期大会、山浦委員長専従へ
    ☆佐川急便が第21回ドラコン開催、団体優勝に北関東支店
    ☆埼玉ト協が新体制後初の理事会開催、各委員長等決める
    ☆西濃運輸と福山通運が共同一括配送サービス、「エコ デリバリー」を今月から全国展開
    ☆東京都の貨物輸送評価制度で9社が「3つ星」に
    ☆SBSロジコム、島忠ホームセンター向け大規模3PL受託
    ☆SGHグローバルが羽田空港第一国際貨物ビル内に拠点開設、国際貨物需要増に対応
    ☆全ト協が通常総会を開催、伊藤・三浦両副会長を新任
    ☆佐川急便、研修やコンサルなど安全教育を外販
    ☆国交省、キャブ付きシャシの型式認定制度を創設

今週のユソー編集室

  • ▼4日に公示された参院選挙から、インターネットを利用した選挙活動が可能となった。すでに各候補者は、自身の主張を広めるべく、手探りしながらさまざまな活動を行っている。
    ▼「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」は、今やコミュニケーションツールの定番だ。産業能率大学の新入社員調査によれば、何らかのSNSを毎日利用している人は66%にものぼる。
    ▼一方で、SNSに掲載した書き込みが、社会的に大きな批判を浴び、「炎上」してしまう現象が後を絶たないため、物流業界でも情報セキュリティ教育に力を入れている企業もある。SNSの発展とともに拡大する情報漏えいリスク。その管理も極めて重要な時代になっている。
    ▼ちなみに先の産能大調査では、SNSにおける上司からの「友達申請」について、女性新入社員の6割が「不快感」を抱いているという。世の「上司」諸氏も、くれぐれも気をつけていただきたい。

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