小口多頻度BtoB市場で圧倒的強み発揮へー「バリュー・ネットワーキング」構想を発表 ヤマトHD
ヤマトホールディングス(YHD)の木川眞社長は3日に都内で記者会見し、小口多頻度輸送を中心としたBtoB市場において圧倒的な強みを発揮することを目的とした物流改革、『「バリュー・ネットワーキング」構想』を発表した。
この構想は、①羽田クロノゲート、厚木ゲートウェイ、沖縄ハブの本格稼働による「止めない物流」②流動型ラックを利用したピッキングシステム「FRAPS(フラップス)」による、出荷場所・出荷形態・出荷量を問わない「クラウド型ネットワーク」③「国際クール宅急便」開始による世界初の「一貫保冷・国際小口輸送」ネットワーク④出荷から到着までシームレスにデジタル情報化することで、送り手、受け手が共有できる「物流の見える化」⑤受け手と送り手双方のニーズを同時に満たす「デマンド・チェーン視点」のイノベーション-を柱として推進していくもの。
これにより、出荷側の業種や事業規模を問わず、輸送の迅速化や低コスト化、高品質を実現し、さらに総在庫量の削減といったメリットも提供できるという。
同社では具体的な「物流改革」として、次のような事例をあげている。
◎主要マーケットの近くに最少在庫を分散させることで、最短4時間のスピード配送を提供。売れた分だけスピード補充するので、コストも在庫も増やさないサービスレベル向上を実現(通販事業者向け)。
◎年内に香港-日本間でサービスを開始する国際クール宅急便により、日本全国の生産地と香港を直結。圧倒的なリードタイム短縮と、万全の保冷技術で、第一次産業のアジアへの販路拡大によるアベノミクスの農業再生プランを支援(第一次産業生産者向け)。
◎さまざまな仕入先からの商材の、各店舗へのジャストインタイム一括納品を提供。メーカーの在庫削減とリードタイム短縮、店舗の生産性向上の両立を実現(流通・卸業者向け)。
◎国内・アジアに分散するサプライヤーから工場ラインまでのジャストインタイム一括調達を提供。調達リードタイム短縮と、在庫の圧縮、さらにサプライヤー側の納期延長を実現(機械メーカー向け)。
◎羽田クロノゲートの修理・メンテナンス機能の活用で、ユーザーへのスピード返送を提供。海外部品の調達を含めた一元管理で、最短24時間のスピードメンテナンスを実現(デジタル機器メーカー向け)。
木川社長は会見で、今回の構想が路線便や宅急便の開始に続く「3回目のイノベーション」とした上で、「今までの日本にはない物流機能を展開していくことで、日本の成長戦略をインフラとして支えていく」と胸を張った。また、宅急便の取扱個数ベースでみた場合、今回の構想実現で企業発荷物の占める割合が85%程度から90%超にまで拡大されるとの見通しを示した。投資額は、羽田クロノゲートが1400億円、厚木ゲートウェイ(2015年に三河、2016年に関西地区でも稼働予定)がそれぞれ200億円であることを明らかにした。