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2013年5月13日付 2473号

海コン輸送不適切状態の発見・是正措置試行へ  国交省が安全対策会議設置し検討

 国土交通省は、国際海上コンテナの陸上輸送の安全確保に向け、関係者間の情報共有や過積載・偏過重など不適切状態コンテナの発見・是正措置に関する検討などを行うため、「国際海上コンテナの陸上輸送に係る安全対策会議」を設置。7日に第1回会合を開き、平成17年に定めたガイドライン改正などに向けた検討を開始した。

 国際 海上コンテナ(以下、海コン)は効率的な海陸複合一貫輸送が可能なことから国際物流の中心的地位を占めており、わが国の物流でも重要性が高まっている。一方で、封印状態で運送される海コンの陸上輸送では、ドライバーがコンテナ内の貨物情報を把握できないことによる横転事故などの重大事故が多発している。こうした状況を改善するため、国土交通省はコンテナ内の情報を運送事事業者が知ることができることなどを盛り込んだ、いわゆる海コン法案を国会に提出してきたが、いまだ成立をみておらず、法の成立を待たずに対策を急ぐべきとの声が関係者から上がっていた。

 このほど立ち上げられた安全対策会議には、国交省、経産省、警察庁の関係省庁のほか、全ト協、日本港運協会、経団連、JILS、JIFFAなどの関係者らが参加し、情報交換を行うとともに、関係者間の協力によって進める取り組みの検討・実施・フォローアップを行っていく。

 具体的な取り組みについては、平成17年に策定したガイドラインの改正や、ガイドラインの内容をより詳細に記したマニュアルの作成などを行う方針。また、海コン法案に盛り込まれていた情報伝達による不適切状態コンテナの発見・是正措置を試行的に実施し、年度末までに一定の成果を得たい考えだ。

シンガポールの物流企業買収へ  SGHD

 SGホールディングス(栗和田榮一社長)は7日、シンガポールの物流会社Ameroid社の買収に向け、株式譲渡契約締結の基本合意に達したと発表した。

 同社は中期経営計画「Third Stage Plan」で、グローバルネットワークの拡充・強化により、3年間の計画期間中に海外事業規模を5倍まで拡大する目標を掲げている。すでにシンガポールの海外統括会社が本格稼働を開始しているが、今回の買収はシンガポールの国内物流を強化し、グローバルネットワーク拡充の基盤を整備することが狙いとなる。

 Ameroid社の主力業務は、シンガポール国内の路線・運送・倉庫業で、こうしたフォワーディング周辺業務でシンガポール国内トップ5(売上高ベース)に入る優良企業。同社ではこれらを踏まえ、シンガポール内の企業間物流強化に最適であると判断し、買収を決定したとしており、シンガポールの陸送運輸機能の確保・拡充、倉庫機能・CFS(小口混載貨物の荷捌)機能の拡充を図っていく。また、佐川急便シンガポールの海上・航空貨物事業との相互補完を図ることで日本やASEAN域内発着貨物の取り込みも強化していく。

Ameroid社の概要は、次のとおり。
▽社名=AMEROID LOGISTICS (S) PTE LTD.
▽設立=1991年1月
▽資本金=100万シンガポールドル(約7900万円)
▽従業員数=220人
▽拠点=シンガポール西部ジュロン港近郊に3倉庫(約3万1千平方メートル)

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『日中航路の海上運賃事情』
    ☆人物ウィークリー、国交省関東運輸局千葉陸運支局長・星野朗氏
    ☆四文字熟語『朝日記者の同乗記「安全運転」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑧』

  • ☆全ト協、燃料価格高騰経営危機突破へ23日に総決起大会
    ☆トナミHD綿貫社長が会見、今後は売上高拡大目指す
    ☆ヤマト運輸の24年度宅急便商品別実績、クール・コレクトが堅調に推移
    ☆センコーが太陽光発電事業に参入、物流センター7拠点に設備設置
    ☆アルプス物流の13年度の事業戦略、アジア地域と欧州で拠点の増設を検討
    ☆埼玉ト協の報告書に見る中小企業診断士からの経営アドバイス
    ☆国交省、JR貨物の役割示す将来ビジョン懇談会の報告書公表
    ☆緊急物資輸送体制整備に向け防災対策室を設置、神奈川ト協と関東運輸局が検討会の中間報告公表
    ☆日通、海外会社で円安効果400億円見込む
    ☆SGHD、宅配便採算性重視で平均単価が上昇へ-今期10円程度改善も
    ☆近鉄エクスプレスが13~15年度の新経営計画策定、海上貨物事業等拡大で売上高3300億円目指す
    ☆富士物流、三重物流センター開設しスピード出荷に対応
    ☆物流企業各社の25年3月期決算

今週のユソー編集室

  • ▼産業能率大学が毎年公表している、「新入社員の理想の上司」。今年度の調査結果が、このほど発表された。それによると、理想の男性上司の1位は野球のイチロー選手、女性上司1位は女優の天海祐希さんとなっている。
    ▼選んだ理由からみる新入社員の意識では、男性新入社員が重視しているのは、「適切なアドバイスをしてくれそう」。女性新入社員が重視しているのは、「人柄がよく親しみやすそう」となる。
    ▼上司に求めるスタイルでは、指導に関しては「まずは任せてみて、進めながらやり方を細かく指導する」タイプを望み、人柄では「あまり支配せず開放的」なタイプを望むという。
    ▼新入社員との世代間ギャップを嘆く声は毎年のように聞くが、そうしたなかでも仕事をうまく進めるため、こうした調査結果を役立てるのも悪くない。一方であまりに迎合的になるのも、逆に見透かされてしまうだろう。あらためて人付き合いとは難しいものだと思う。

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