売上高6年連続減少し営業利益率も悪化 全ト協の23年度決算版経営分析
全ト協は3日、トラック運送事業の平成23年度決算版経営分析報告書を発表した。1社平均の全売上高、貨物運送事業収入(営業収益)ともに6年連続の減収となり、営業利益率も、ともにマイナス幅が拡大、業界の9割を占める車両50台以下の約6割が営業赤字で推移している。また経常利益率も、ともに低下し、さらに厳しい経営状況となっている。この報告書は、全国の事業者1976社(有効数)から提出された23年度決算の「一般貨物自動車運送事業報告書」に基づき集計、分析した。
それによると、兼業分を含む23年度全売上高(1社平均)は1億8948万円となり、前年度に比べ2.3%の減収となった。うち貨物運送事業収入も1億8825万9千円となり、2.0%減少し、ともに6年連続の減収となった。なお、23年度の1社平均輸送トン数は6万3425トンで、ほぼ横ばいであることから、輸送トンあたりの売り上げが減少している。
採算状況についてみると、23年度の売上高営業利益率は0.3ポイント、悪化のマイナス0.9%と、5年連続営業赤字となり、貨物運送事業の営業収益営業利益率も0.3ポイント悪化しマイナス1.0%となった。営業利益は19年度以降マイナスが続き、23年度も燃料価格が上昇したため、営業損失が拡大した。貨物運送事業の営業損失は180万4千円(前年度140万9千円)で、マイナス幅が拡大。
貨物運送事業収入の2%減に対し営業費用(運送費プラス一般管理費)は1.8%の減少となった。営業費用の大部分を占める運送費用をみると、燃料油脂費が8.5%増加する一方で、人件費は0・8%減少し、燃料価格の上昇要因が大きく影響している。売上高経常利益率は0.1%となり、0.4ポイント低下。うち貨物運送事業の営業収益経常利益率は0.1%となり、0.3ポイント低下した。
貨物運送事業の経常損益額は13万1千円の黒字で、前年度の76万4千円から大幅に減少。2年連続の経常減益に。貨物運送事業の黒字企業の割合をみると、営業利益計上企業の割合が43%で、ほぼ横ばい、経常利益計上企業割合は54%で、2ポイント低下した。営業赤字企業の割合は過半数を占める状況が続いており、23年度は57%で横ばいとなっている。
規模別にみると、「21~50台」「51~100台」を除いた規模で営業黒字企業割合が横ばいないしは低下した。特に、営業赤字企業割合が「10台以下」では63%と6割を超え、「11~20台」は60%、「21~50台」では53%となっており、規模が小さいところでは依然として赤字企業割合が過半数を占め、規模が小さいほど経常黒字企業割合が低い傾向がみられる。
燃料費が営業収益に占める燃料費比率は、21年度14.2%、22年度16.2%で、23年度は、1.7ポイント上昇し17.9%となり、21年度から原油価格上昇の影響を受けて、燃料費が上昇していることがわかる。