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2013年4月1日付 2468号

売上高6年連続減少し営業利益率も悪化  全ト協の23年度決算版経営分析

 東京都環境局はこのほど、「建築物における物流効率化の手引」を作成した。物流効率化による道路交通円滑化の観点から、建築物の計画立案・設計に携わる人や、施設を所有・管理する人に役立ててもらうため、大規模建築物等における荷捌施設の整備、運用の際の配慮事項をまとめた。

 手引はA4判62ページで、「東京の物流の現状」や「東京の建築物における物流」など巻末に参考資料を付している。内容は、第1章「本手引の目的・対象」、第2章は施設整備面での「荷さばき施設」、第3章は「施設の運用方法による効率化」、第4章では「効率化導入のための関係者の合意形成に向けて」、そして第5章ではビル単独での取り組みを越えた地域ぐるみの取り組みについての「地区単位での取組、地域貢献」を紹介、第6章で環境負荷の削減効果の計算方法を示した「物流効率化によるCO2排出量の削減」、「建築物における物流効率化の事例」で構成。

 第1章の目的・対象の中では、「周辺の交通渋滞等を引き起こすおそれのある建築物においては、その施設の設置及び運営管理にあたり、納品車両を削減し、荷さばきを改善するなど、物流効率化への配慮が重要となる」とし、次のように述べている。

 「ビルにおける荷さばきの問題の改善を行うことは、単に交通渋滞の解消に留まらず、周辺のまちの魅力を高めると同時に、ビル自体の魅力を高め、納品の効率化による経済性の向上、消費エネルギーの削減、ビルのセキュリティの確保、テナント事業者の利便性の向上をもたらす」「このようなことから、建築物の設置者及び管理運営者は、荷さばき問題の改善が社会的に求められていると同時に、それによる大きなメリットを得ることが出来るものであり、本手引では、それらに向けた方策を提案していく」。

 これまで東京都は、平成14年に都市における荷捌駐車施設不足の解消を目的に、東京都駐車条例を改正し、一定規模以上の建築物に荷捌駐車施設の附置を義務付けている。また11年策定の大規模小売店舗立地法の第4条に関する指針の17年と19年の改定で、施設設置にあたり周辺地域の交通渋滞等の生活環境に配慮すべき事項が定められた。

 東京都環境局では建築物における荷捌施設の整備、運用に関する配慮事項を明らかにすることで、端末物流の効率化を促すことを目的に16年3月、「端末物流の効率化に向けた路外荷捌き施設の手引」を作成。これから8年が経過し、環境政策における大気汚染の改善に加え、地球温暖化対策が新たな課題とされ、21年の環境確保条例改正で事業所における貨物の搬入に際しても地球温暖化対策に向けた一定の努力が求められるようになった。

 こうしたなかで、大規模建築物設置者らにより、館内物流効率化の優れた取り組みも行われるようになってきたため、これらを整理・総括し、先の手引の内容を踏まえた手引を作成したもの。

中期経営計画を発表、国際関連売上高7200億円目指す  日通

 日本通運(渡邉健二社長)は3月29日、2013年度から2015年度までの3ヵ年を期間とする「日通グループ経営計画2015-改革と躍進-」を発表した。

 新計画では、①グローバルロジスティクス事業のさらなる拡大②国内事業の経営体質強化③グループ各社の多様性を生かした事業拡大④CSR経営に基づく事業を通じた社会への貢献-の4項目を基本戦略としている。

 グローバルロジスティクスでは、2015年度に国際関連事業売上高比率40%達成(7200億円)を目指し、フォワーディング事業の強化と域内輸送サービスの展開、海外各国における国内物流事業構築をはじめ、国内外が連携した発着一貫輸送業務の商品化と販売強化など日本国内における輸入貨物の取り扱い拡大も視野に入れており、中堅荷主企業のグローバル展開に対応する総合的な物流サービス提供も行っていく。また、非日系企業との取引拡大や、M&Aによる成長、グローバル人材育成の強化、グローバルIT基盤の拡充も実施していく。

 一方国内においては、首都圏など大都市圏における営業力強化、地域密着の営業推進、小口貨物の競争力強化など自動車運送事業の再構築、引越事業の競争力強化などを行っていくほか、地域実態に見合った資産・人員・車両等経営資源最適化、オペレーション部門の効率化推進など経営資源の抜本的な見直しも行っていく。

 グループ経営では、◎物流関連事業の拡大◎最先端のロジスティクス技術開発◎新たな事業領域の拡大-を目指す。

 これらにより、最終年度の到達目標として、売上高1兆8千億円、営業利益540億円、当期純利益340億円、総資産利益率2.5%、複合事業営業利益率3%、CO2排出量を2009年度基準に原単位で年平均1.0%以上削減、などの数字を設定した。

 同日会見した渡邉社長は国内事業について、「収益性向上に向け、不退転の覚悟で構造改革に取り組んでいく」と強調した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆平成25年の主な物流企業新卒新入社員数
    ☆人物ウイークリー、三八五労働組合中央執行委員長・小野武司氏

  • ☆国交省が適正取引推進パートナーシップ会議、運送契約の書面化は荷主含め賛成意見
    ☆SGHが新中期経営計画発表、国際フォワーディングM&Aなどで3年後の売上高1兆1千億円目指す
    ☆日通、パナソニックロジスティクスとNECロジスティクスの株式を取得
    ☆エコモ財団、観光カーボンオフセット支援システム運営「導入の手引」公開
    ☆全ト協が会長名で声明発表、消費税転嫁対策特措法案の全取引対象など評価
    ☆全ト協、24年度の引越管理者講習で開催都道府県も大幅増加受講者数は2.5倍2540人に
    ☆国交省、パイロットプロジェクトで韓国シャシ国内走行開始
    ☆NTNが物流子会社を新設 
    ☆Paltac、主要物流センターに太陽光発電パネル 
    ☆オートバックスセブン、物流センター内に太陽光発電設備を設置
    ☆物流連が基本政策委開く、国際協力銀行関係者が講演し融資の積極的利用を呼びかけ
    ☆日本フルハーフ、ISO40と45?積載兼用のコンテナシャシトレーラ発売
    ☆新生東ト協スタート、一般社団法人に移行で臨時総会開き規定を制定
    ☆鉄貨協がエコレールマーク贈呈式を開催、ブルボン3商品対象
    ☆消費税転嫁のための特措法を閣議決定、私的独禁法の適用除外盛り込む
    ☆日野自動車、小型トラックが好調でハイブリッド車の累計販売1万台突破
    ☆物流連伊藤会長が会見、若手ワーキングチーム設置など盛り込んだ25年度事業計画を承認
    ☆埼玉ト協、40周年と一般社団法人移行の記念式典を開催
    ☆埼玉ト協が予算総会で25年度事業計画決める、良質な労働力の確保に向け職場体験支援事業など盛り込む
    ☆日通商事、タイ・バンコクにリース事業会社設立
    ☆ヤマト運輸、長野県観光協会と協定結び「信州手ぶら便」開始へ
    ☆三菱倉庫、自然災害対策など盛り込んだ新中期経営計画を策定

今週のユソー編集室

  • ▼きょう4月1日は、多くの企業で入社式が行われる。本紙でも例年同様、物流各社の新卒新入社員数を調査し、本号の5面に一覧表にして掲載した。
    ▼厚生労働・文部科学両省は3月15日、今春卒業予定の就職内定率(2月1日現在)を発表している。それによると、大学生の就職内定率は81.7%で前年を1・2?上回り、2008年のリーマン・ショック以前の水準までには達していないものの、2年連続で改善した。
    ▼物流業界でもこうした傾向は読み取れるようで、本紙の調査でも、大手企業などを中心に、採用者数はおおむね増加傾向にあるようだ。
    ▼その反面、気になるのが離職率の問題である。新卒大学生の3年以内の離職率は約3割にのぼり、激務や人間関係、希望する職種ではなかったことなどが理由という。物流業界の門を叩いた新入社員が、こうした社会の荒波を乗り越えて会社に定着し、社会人として充実した人生を送ることを願いたい。

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