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2013年3月4日付 2464号

災害時の総合応援で広域首都圏17自治体が民間と物流協定締結  国交省

 国土交通省は2月27日、東日本大震災を踏まえた「首都圏広域地方計画の総点検結果(最終取りまとめ)」と「災害時相互応援に関連する広域的な協定等の締結状況」を公表。広域首都圏(1都7県と福島・新潟・長野・静岡)の各県と首都圏の政令市を合わせた17の自治体で民間との支援物資物流に関する協定が締結されていることがわかった。

 国土交通省では、広域地方計画に位置付けられている防災関連プロジェクトが今後発生しうる地震・津波災害等に対応しているかについての総点検を全国8ブロックで行っており、首都圏では「東日本大震災を踏まえた首都圏における広域的な連携・取り組みのためのプロジェクトチーム」を設置して、広域的に連携する必要性の高い課題や解決方策について検討してきた。取りまとめでは、「民間のノウハウを活用した支援物資物流」や「災害に強い物流システムの構築」など広域的な連携・取り組みが必要な課題を22項目抽出し、解決に向けた方策をアクションプランとして示した。

 物流関連の課題に対しては、「協議会での取りまとめ内容に実効性を持たせるとともに、効率的・効果的な支援物流システムを目指すため、訓練シナリオの作成および実証訓練の実施、災害時協力協定の締結・見直しの推進、関係者間の連携体制づくり、リストアップした民間物資拠点の更新に取り組んでいく」とした。また、陸・海・空が連携した緊急輸送の交通確保のため、首都圏三環状道路等の高規格道路整備や橋梁の耐震化等を推進するとしている。

 協定等の締結状況については、都県、政令市が締結している地震・津波災害の協定等のうち、①都県の場合は県外、政令市の場合は市外の自治体と締結している②各自治体外に本社、または支店を有する民間等と締結している―協定等は827件あり、「官のみ」と締結している協定は125件、「民のみ」と締結しているのは689件、「官および民」と締結しているのは4件だった。
 「民のみ」のうち、物流・物資に関する協定は346件で最も多く、「民間ノウハウを活用した支援物資物流」の課題に対しては、すべての都県・政令市で協定が締結されていることがわかった。

海外引越利用対象者のスマート保管サービス発売  YLC

 ヤマトロジスティクス(YLC、金森均社長)は1日、海外引越サービスの利用者を対象に、海外に携行しない家財の保管と、海外からでもウェブ上で明細の確認や取り出しから配送依頼、料金の決済まで行うことができる「スマート保管」サービスを発売した。
 
 サービスの特徴は、次のとおり。
 ①海外からでもウェブ上で、預けた家財の明細(写真、サイズ等)を確認できる。
 ②預けた家財は、ウェブ上から預かりの際の1梱包単位で取り出し依頼ができる。
 ③料金は、1梱包につき出庫費用(525円から)プラス配達費用(740円から)の設定。支払い方法は、ウェブ上でカード決済できる。
 ④「宅急便」「らくらく家財宅急便」で、希望日時に配達。日本時間前日午後3時までの受付で、最短翌日午前中から配達可能。

 同社ではこれまでも、海外引越に関する家財保管サービスを提供してきたが、近年、一時帰国時に家財の一部を取り出したい、日本で預けた家財を親戚等に譲渡したいというニーズが高まってきたため、海外にいながらウェブ上で取り出し依頼から国内配送・決済までの手続きを行える「スマート保管」サービスを開発、提供することにしたもの。

今週掲載トピック一覧

  • ☆連載特集、引越③(最終)

  • ☆全ト協、青年経営者中央研修会で先進的取り組みの5社を顕彰
    ☆東ト協海コン部会調査、東京港の海コン搬出入に5時間半待機も
    ☆三菱倉庫、ミャンマーに現地法人設立へ

今週のユソー編集室

  • ▼超高齢化社会とは、日本人の平均年令の話かと思っていたら、日本の橋の話でもあるらしい。本紙前号のコラム『巻雲』でも一部触れているが、その実態は深刻である。
    ▼国交省によれば、わが国の橋長15㍍以上の橋は現在約15万7千あり、そのうち約1400が老朽化等ですでに通行止めになっている。2011年時点で築後50年を経過した橋は全体の約9%となっているが、20年後の2031年には53%に達する。
    ▼早くから道路が整備された米国でも事情は変わらず、大きな落橋事故も起きている。メンテナンス不足で通行止めの多かった1980年代には、そうした状況を「荒廃するアメリカ」と呼んでいたともいう。
    ▼わが国でも現在の状態が続けば、確実に「荒廃する日本」がやってくる。安全・安心な交通環境は、物流事業者だけでは作れない。耐震化の話とも合わせ、一刻も早く安価で効率的な橋の修繕方法を開発することが必要だ。

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