運送契約の書面化今夏までに義務化 第1回トラック産業作業部会
国土交通省は、トラック産業の安全性・健全性を向上させるための具体的措置の検討と、実施に向けた協議を行うことを目的に「トラック産業に係る取り組み作業部会」を設置、21日に東京・霞が関の中央合同庁舎で第1回会合を開いた。
昨年10月に取りまとめられた最低車両台数・適正運賃収受ワーキンググループ(WG)の報告書に、「WGで提言した参入に係る事項や必要な対策を推進する作業部会を早期に設置すること」との文言が盛り込まれたことを受けて設置したもので、①参入時基準の強化②多層構造の弊害解消に向けた対策③水平構造の改善④適正化事業の充実-について検討を行う。WGのメンバーを中心に、野尻俊明流通経済大教授ら学識経験者・有識者のほか、日本経団連、日本商工会議所、全ト協、運輸労連、交通労連の代表者が参加し、必要に応じて追加する。
第1回会合では、多層構造の弊害解消に向けた取り組みとして、運送契約の書面化と荷主勧告制度の改正についての方向性が事務局案として示された。書面化については、「重要事項確認書面(仮称)」についてガイドラインを定め、省令によってトラック事業者からの発出を義務付けるほか、約款での位置付けを行う。
書面化する事項は、①運送委託者・受託者名、連絡先②委託日・受託日③運送内容(積み込み開始日時・場所、取り降ろし終了日時・場所)④運送品の概要・車種・台数⑤運賃、燃料サーチャージ⑥附帯業務内容⑦有料道路利用料、附帯業務料⑧支払い期日⑨車両番号、運転者名-とする方針。これにより、拘束時間違反や予定外附帯業務の改善が期待される。
荷主勧告制度については現在、過労運転や過積載運行を行わせた荷主に対して「協力要請書」を発出し、3年以内に同一違反があればさらに警告的内容の「協力要請書」を発出、その後3年以内に同一違反があれば「荷主勧告」を行い社名を公表しているが、改正後は、「非合理な到着時間の設定」「やむを得ない遅延に対するペナルティの設定」「積み込み前に貨物量を増やすような急な依頼」「荷捌き場における手待ち時間を恒常的に発生させているにもかかわらず、事業者の要請に対し、通常行われるべき改善措置を行わない場合」の4つの類型に当てはまる場合に、「協力要請書」の発出を経ずに、「警告書」の発出または「荷主勧告」ができるようにする。
書面化、荷主勧告ともに、4月に開催予定の次回会合前後にパブリックコメントを行い、今春から今夏にかけて省令公布などを行う。