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2013年2月4日付 2460号

国内3PL事業を統合、今後具体的内容を協議  SGHD、ハマキョウレックス

 SGホールディングス(栗和田榮一社長)とハマキョウレックス(大須賀秀徳社長)は1月31日、資本提携を含む戦略的提携の基本合意書を締結したと発表した。ハマキョウレックスと佐川グローバルロジスティクスの国内3PL事業の統合、SGHDによるハマキョウレックス株式の一部取得を柱としており、統合の形態等具体的内容について、今後協議を進めていく。

 SGHDグループの国内3PL事業は、佐川グローバルロジスティクスおよび佐川グローバルロジスティクスの100%子会社である佐川ロジスティクスパートナーズ㈱で展開しており、統合はハマキョウレックス、佐川グローバルロジスティクスの国内事業部分および佐川ロジスティクスパートナーズ㈱を範囲として行われる。統合の形態、統合比率など具体的な内容については、今後デューデリジェンスなどを経た上で、両社で協議して決定する。
 
 SGHDによるハマキョウレックス株の取得についても、取得株式数や方法について両社で協議して決定するが、ハマキョウレックス株式は引き続き上場を維持する予定という。

 基本方針は、成長領域である3PL事業において国内トップクラスを目指すべく、両社の経営資源を結集し、強固な競争基盤の確立を目指していくことで、①両社グループ総合力を生かした相乗効果の発揮②豊富な顧客層の相互活用-の効果が期待できるとしている。

 関係各社の概要は次のとおり。
 ▽SGホールディングス㈱=資本金113億8300万円、24年3月期連結売上高8813億3400万円、営業利益295億4100万円、経常利益264億4800万円、当期純利益61億400万円
 ▽佐川グローバルロジスティクス㈱=資本金287600万円、24年3月期売上高487億1600万円、営業利益11億9800万円、経常利益13億1700万円、当期純利益4億6200万円(24年3月期指標は佐川ロジスティクスパートナーズ㈱との単純合算)
 ▽㈱ハマキョウレックス=資本金40億4500万円、24年3月期売上高899億3500万円、営業利益65億2800万円、経常利益65億5200万円、当期純利益34億2300万円。  

国際保冷小口配送サービス試行へ  日本郵便、日本航空

 日本郵便(鍋倉眞一社長)と日本航空(JAL、植木義晴社長)は1月29日、国際スピード郵便(EMS)による小口の保冷配送サービス(クールEMS)について、今年4月1日から来年3月31日までの1年間、試行を行うと発表した。

 日本の食材に対して世界的に関心が高まる中、国際小口貨物の保冷輸送を提供することで、海外の個人レベルでも鮮度を保ったまま日本の食材を簡単に手に入れることが可能になる。国際小口貨物の保冷配送サービスについては、ヤマト運輸が全日空と連携して楽天市場向けに期間限定で行うと発表しており、近い将来の通常のサービスメニューとしてラインアップに加えていく考えを示している。日本郵便とJALの両社は、これに対抗するサービスとして、すでに実績のある医薬品用保冷容器とEMSのシステムを活用し、郵便配達のサービスレベルが日本に近いアジア各国を中心に、商品化を急ぐ考えだ。

 クールEMSは、日本発台湾・シンガポール向けで開始。JALが開発した医薬品用の保冷容器・保冷剤を活用し、引き受けから配達まで72時間から80時間程度一定の温度(2度~10度)を保ったまま配達する。日本郵便は集荷から国際郵便局の通関まで行い、JALの航空機で対象となる国・地域の空港まで輸送、通関から配達まで現地の郵便が行う。

 差し出しは、北海道の千歳、神奈川の川崎港の2郵便局から行えるが、両局とも窓口では扱わず、集荷のみの取り扱いとなっている。大きさは最大で長さ34㌢・幅26㌢・高さ23㌢まで。重量は最大で15㌔㌘まで。料金は最も安い500㌘までが7千円、最も高い14㌔㌘超15㌔㌘までが2万4600円となっており、料金帯は16に区分されている。いずれもEMSの基本料金込み。

 一方で、当面用意する容器の数が100個程度と限定されることから、差し出し予定日の一週間前までに利用の申し出が必要となり、差し出し日時も郵便局側が指定する形となる。

 配達時には、事前に受取人に対して在宅確認の電話連絡をする。川崎から発送した場合は台湾が翌日、シンガポールが翌々日の配達。札幌から発送した場合はどちらも翌々日の配達になる。日本郵便の国際郵便マイページに登録すれば、配達完了などの情報がメールで受け取れる。

 同日に記者会見した鍋倉・植木両社長は、相手先の通関事情等まで含めテストを重ねた上での試行であることを説明、「おそらく世界でも初のサービス(鍋倉社長)」「簡便さ、スピード感を追求した新しい商品(植木社長)」と語り、新たな商流を構築する商品として期待感を表明した。また、今後の展開として、差し出し郵便局の拡大や、香港、上海、韓国などアジア近隣諸国への対象地域の拡大、冷凍品など温度帯の拡大などを進めていく考えを示した。

 取扱品目は、一般路線便、一般宅配便、クール宅配便、国際宅配便、メール便、ゆうパック、時間指定便、一般航空便、国際航空便、バイク便、代引き便、その他荷受け可能と判断した商品を対象とし、現金や標準約款に定める取り扱い対象除外貨物等は取り扱わない。取扱手数料(税別)は宅配便・路線便が3辺サイズ170㌢㍍・30㌔㌘までで、全流協会員が1個90円、非会員が100円。メール便は3辺サイズ70㌢・厚さ2㌢・重量1㌔㌘までで、配達が1冊15円、集荷が10円。代引手数料は一律1件300円、住戸の各便は集配ともに1個130円。これらよりも大きい貨物は別途協議するとしている。  

今週掲載トピック一覧

  • ☆トピック、冷凍冷蔵コンテナのレンタル受注増加-ロッコーエンジニアリング
    ☆人物ウィークリー、ヤマト・スタッフ・サプライ㈱代表取締役社長・尾方直美氏

  • ☆25年度予算案、自動車運送事業者向けの安全対策予算増額
    ☆物流連首脳が今年の物流語る
    ☆日通、高級アパレル関連のイタリア物流会社を買収

今週のユソー編集室

  • ▼物流連の伊藤直彦会長は、今年の物流を語る会の席上で、「通販などの送料無料はおかしい。送料当方負担とするべきで、送料はそもそも無料だと、勘違いをする消費者もいる」と嘆いた。
    ▼ある大手宅配事業者の関係者は、送料無料を掲げるネット通販の宅配便の単価の安さに閉口している。以前から指摘されていたことだが、経営環境の厳しさとネット通販の利用拡大に伴い、物流事業者の「送料無料」に対する不満が高まりつつあるのかもしれない。
    ▼今さら当たり前の話なのだが、送料は無料ではない。より正確に言えば、配達のコストはゼロではない。通販事業者の掲げる送料無料とは、利用者がそのコストを負担する必要がないというだけの話であって、誰かがそのコストを負担しているに過ぎない。
    ▼「送料無料」より「送料当方負担」。誰がみても正論と思えるこの主張は、実は物流事業者の社会的地位の現在位置を示す、バロメーターなのかもしれない。

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